企画記事
スーパーポテト10時間「秋葉原 都会に眠る思い出に」by 4Gamer
「昔はファイナルファンタジーVIIとかゼノギアスとかが好きで,昔のやつでなにかないかなって,ぷらぷら探してます。そんな感じです」
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「ファミコンの野球ゲームを探してたんです。新しいゲームはやらないので。最近はアルテリオスっていうゲームを遊びました」
「やっぱり,ファミコン本体にカートリッジを挿して,カチャって起動するっていう,そのシーケンスがいいんですよ」
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サブカルチャーの街,東京・秋葉原。JR駅の電気街口から歩いて数分。大通りの裏側にそこはある。ここは“中古ゲームショップ”。
店内にはレトロなゲームソフトに,日焼けしたゲーム機たち。目新しい都会の雑居ビルで,古くなった子たちが肩を寄せ合っている。
以前の持ち主の手から離れ,新しい出会いを待ちわびるように。
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「アメリカから来ました。クラシックゲームからPlayStation以降のものまで見て回っています。風のクロノアって知ってますか?」
「日本のレトロゲーム市場はアメリカよりもずっと盛んです。eBayに出回っているのはどれも高額すぎますしね。実に興味深いです」
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「そんなに中古で買ったりはしないんですけど,自分が昔買ったやつってのが,どれくらいで売られてるのかなって気になって」
「今このプレミア価格で買ったら,手放せないでしょうね」
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地方も国境も越えて,朝から晩までひっきりなしに訪れるレトロゲーム好きな人たち。なにか探しにきているものでもあるのかな。
誰かの思いが染みついた古いゲームに,なにか思いをはせる人たちを,1日10時間,見つめてきた。
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12月22日(月)11:00
(カンコーン)12月のクリスマス前。月曜日の11:00に撮影開始。
平日の午前。雑然とした裏通りを少なくない数の通行人が行き交う。ビルの前では,わっ。開店直後から次々と立ち止まる人たち。
旅行先の目的地なのか,海外の人もたくさんいる。
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ビルの3階から5階まで。3フロアにわたってレトロゲームが敷き詰められているここは,ゲームのパッケージ販売を生業としている。
店内には時代を一世風靡した名作から,現在では手に入りづらい希少なプレミア品まで。数えきれないほどのゲームたちがズラリ。
あっ。開店直後からウロウロしてる,2人組の男性。
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『こんにちは4Gamerです。今日はなにを探してるんですか』
「エヴァのやつがちょっと見たくて。鋼鉄のガールフレンドってやつで。それを探しに来てました。おー,ないかなぁって」
「ダウンロード版もないし,AmazonでPSP版とかも探したんですけど,まったくなくて。いろいろ店をめぐって,1万円とか2万円くらいで買えるのは見たんですけど,ここはどうかなって」
友人と一緒にやってきたという男性。今はお目当てを探している。
「エヴァ自体,もうほんと友だちにおすすめされたアニメとマンガでしか触れてこなかったんで。それから劇場版とかも全部見て。ゲームもモンハンとかああいう系しかやってこなかったんで,それで」
「でもやっぱりきっかけはパチンコ。パチンコで完全にハマりました」
「鋼鉄のガールフレンドって,どっちかっていうとギャルゲーなんで。今のところ見つかってないんですけど,もうちょっと探してみます」
見つかると,いいね。
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店の隅っこで,なにかを真剣に探している男性がいた。なんでも芸能事務所所属で,今はゲームギアのソフトを探しているんだとか。
「最近,ゲームギア本体を手に入れたので,(ゲームギア版の)レミングスを探してます。今は昔のゲーム機を集めるのにハマってて,プレステシリーズとか,ゲームボーイだとカラーとかアドバンスとか」
『ゲームボーイブロスってご存じですか』
「ブロス?」
『本体だけカラーで,画面は白黒のブロスってのがあったんです』
「あー,そういう」
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男性は最近になって,レトロゲーム機に興味を持ったという。
「まあその,YouTubeとかで,レトロゲームの実況だったりとか,ゲームセンターCXとか見てて。あと知り合いにゲーム会社の人がいるんで,その人の影響でちょっとやってみたいなと思って」
「子供時代はゲームをちょいちょいやってました。実家にもスーパーファミコンとかありますね。ただそっからは一時期離れてたんですけど,またちょっとやってみたいなと思って。触れてみたらけっこう楽しかったんで,それで集めだしたっていう」
「(最新ではない古いゲームは)なんていうんでしょう。ゲーム性がすごいシンプルなのにおもしろいなというか。このシンプルさでここまでハマれるのはいいなぁと思っています」
「昔のゲームって画質がいいとか,動きが滑らかとかってのじゃなくて,ほかの部分ですごい工夫しているのがおもしろいなと。レミングスもほかのゲーム機版はあると思うんですけど,今たまたま手に入れたのがゲームギアで,ゲームギアのなかでやりたいソフトを探してるんで」
「画面のサイズはゲームボーイとかとあんま変わらないんですけど。本体がめちゃくちゃ大きいし重いしで,ちょっと武骨な感じがかっこいいんです。今はソニック・ザ・ヘッジホッグ2しか持ってないですけど」
『じゃあ,起動したときのカラー画面に衝撃を受けたりは』
「それがちょっと,ゲームギアの画面が壊れてて。その修理も含めて楽しみたいっていうか。手作りではないけど,なんかこう自分で直すっていうのもハマってて。そういう全部を含めて,ゲームを楽しんでます」
ゲームの楽しみ方は,人それぞれ。
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たくさんのゲームソフトが陳列されている3階や4階と打って変わって,5階はゲームセンターになっている。並んでいるアーケードゲームたちも当然,往年の名作ばかり。それに駄菓子屋まである。
そこに,首からカメラを提げた男性がやってきた。
「観光です。香川県から秋葉原観光に来ました。ホテルが秋葉原だったんで。この土日にVRChatのイベントがUDXであって」
『オフラインイベントですか?』
「え? いやもう,大々的な感じでやってましたよ」
勉強不足で,すみません。
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「昔,レトロゲームにハマってて。(今日が帰る日なので)今から東京タワーとか見にいこうかなと思ってたんですけど,ここ見つけて。ちょっと行ってみようと思って入った感じです」
「スーパーファミコンは家にあってずっとやってたんで。ヨッシーアイランドとかやってました。任天堂(のゲーム)はかなりやってましたね」
「本当に小さいころだったから,ストーリー系のは文字が読めないというか,ちょっと分かんないところが多かったんで。直感的に遊べる系のゲームばっかやってました」
「普段はVRChatでお酒を飲んだりとかしてます。あっ,(VRChatアバターの)写真撮りますか? 撮るならもっとこっちのいいやつで」
男性はVR空間でアバターになりきり,ほかの人と交流するチャットゲームに夢中。ついでにVR上での姿も見せてもらうことに。
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『うちにもVRChatに急にはまっちゃって,1年で全身の機器を100万円分くらい買っちゃったっていう人がいますね』
「僕は100万円は出せないですね(笑)。僕,VRChatはお酒を飲むためだけにやってるんで」
『VRでお酒?』
「お酒を飲むエリアみたいなのがあるんですよ。(VRChatをしながら)お酒飲んでる人が集まってるよ,みたいなところがあって」
「だからリアルでお酒飲みながら会話してて。居酒屋さんみたいに」
仮想の飲み会。どんなきっかけではじめたんだろう。
「まあ,お酒が好きなので。(VRで)お酒飲めるとこあるよーっていうのを,なんかみんながTwitter(現:X)とかで言ってるのが偶然流れてきて。えー,こんなんできるんやーと思ってはじめてみたんです。なんか行ってみたら,いつでも誰かが飲んでるみたいな」
「角打ちみたいな,立ち飲みみたいな感覚で行けるのがええなと思った感じですね。僕は週末だけ,たまに家で飲みたいなってタイミングでやるんですけど。人と話すのがけっこう好きなんで。いつも(VRChat内で)鬼ころし飲んでるので,ぜひ来てみてください」
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12月22日(月)13:51
お昼すぎ。昼食を求める人たちが街にあふれ出す。
裏通りのにぎやかさも,すこしずつ増していく。
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店のレジ前では,わっ。高額のお買い物。
しめて総額,5万8960円。なにを買ったのかな。
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「(Wizardryの)こっちのミュージックCDを持ってなかったんです」
『お好きなナンバリングで言うと?』
「やっぱ1じゃないですか。初代」
「(最初に触れたきっかけは)いやあ,なんでしょ。覚えてないね。高1で遊びましたが,最初に遊んだゲームでもなかったんですけど」
こちらの男性。どうやらゲームソフトを買い集めているらしい。
「700本近く。家のなかに。集めたいなーと思うと集めたくなっちゃう。いや,昔からちょいちょい集めてはいたんですけど。ここ5年ぐらいで,また集めようかなとなって。あんまり考えずに,これ欲しいなって。買ったあとはビニールに入れて,コンテナに保管って感じです」
『ご家族からは,なにか』
「キレてなにも言われない(笑)」
「とりあえず,欲しいシリーズを集めたら,それでおしまいにしておこうかなと思うんですけど。Wizardry系だけで70本ぐらいいきますので。ハード別でも集めているので,重複もいっぱい」
「文化遺産的な認識で集めてる感じ。(集めたあとの情報発信は)まったくやらないです。完全に自分だけのために集めてる」
『年末はそれを眺めて楽しんだり?』
「ソフトより,スプレッドシートですね。シートにズラーッと書きためてるのを眺めてるのがおもしろい(笑)」
そのうち1000本は,いってしまいそうだ。
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店のなかに,オシャレな格好でグッズまみれのバッグを提げる男性がいた。古いゲームを眺めてるようだけど,気になるのかな。
「このお店,ネットで知って,ぜひ行きたいなーって思ってたんです。ゲーム全般が好きなんで。ゲーム好きとしては行っておきたいなーと」
「今回は推しのライブに来てて」
『VRChatですか?』
「VRChat? や,昨日は(バーチャルガールズグループの)VALISっていう方々のライブがあって。その遠征でこっちに来てるって感じです。今日は帰るついでに秋葉原を散策してる感じです」
男性はVTuber好きだという。最推しのぬいぐるみも見せてもらえた。
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「もともとボーカロイドが好きで。それを契機にバーチャル・シンガーとかにも興味もって。トウキョウ・シャンディ・ランデヴって曲知ってますか? 去年めっちゃはやってたんですけど」
「VTuberとかはけっこう箱推しですね。どハマりしちゃってます」
『今日はなにか目当てのゲームがあったりは』
「いや,(ビルの)上から攻めてるんで,まだ見てないんですよ。下の階には今から行くところで」
上から下がる派と,下から上がる派。この日もけっこう割れていた。
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同じフロアで待機していると,若い男性の2人組がやってきた。
『今日はなにを探しにきましたか』
A氏「昨日ライブがあって,おもしろいとこないかなと思って」
『VRChatかVTuber?』
A氏「いや,乃木坂(46)。乃木坂のライブが昨日でした」
宮城県の仙台からやって来たという2人。片方はゲームをほとんどやらない。もう片方は,昔はよくやっていたんだとか。
A氏「ゲームは彼が昔やってたんで。じゃあ,フラッと見てみよっかってなって。僕もないわけじゃないんですけど,そんなに買い与えてもらったわけではなかったので。ポケモンをずっとやってた感じです」
B氏「自分はなんか懐かしいなって思って。ドラクエ好きだったんで。最初にやったドラクエ8がおもしろかったんです。PS2ですね。最近はゲームもやらなくなりましたけど,レトロゲームはちょっとやってます」
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A氏「彼とは学生時代からの友達です。僕はもう12年以上前から乃木坂が好きで。彼にもずっとアプローチしてたんですけど,2人でライブに行くようになったのは,3年くらい前が初めてでした」
『なぜ,3年前まで耐えたのでしょう』
A氏「耐えたww その言い方おもしろいww」
B氏「そのころ,1人かわいいなと思った子がいて。そのときちょうどこいつに,一緒に行ってみないかって誘われたんです」
A氏「9年越しの念願でしたからね。うれしかったですよ。感無量ですよ。ようやくこっちの世界に来てくれたなっていう気持ちで」
『その最初のライブでどハマリされた?』
B氏「そうですね。1回きりだと思ってたんですけど,そうですね。よかったんで。曲はもともと好きだったんで。そのころはメンバーも分からなかった状態だったのが,それも全部合致しちゃって」
『それ以降,一緒に何回くらいライブに行ったんですか』
A氏「たぶん,6回くらい?」
B氏「6回くらい」
A氏「まだそんなに多くないんですけど,今後は増えてく感じです。なんかゲーム関係なくなっちゃってすみませんww」
VRChatにVTuberにアイドル。秋葉原でカルチャーがひも付く。
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下の階に降りてみると,セガサターンのソフトをじっくりと見ている男性が。いったい,なにを探しているんだろう。
「シューティングとかはやらないんで,いわゆるシミュレーション」
『というと,三国志とか?」
「あー,そっちではなくて。お姉さんが出るほうのシミュレーション。そっちのほうのシミュレーションなので」
『同級生とか?』
「そういうやつ。当時,パソコン持ってなかったんでサターンで」
セガサターンの恋愛シミュレーションゲームに,なにやら思い入れがある男性。この組み合わせは当時,特殊な描写もあったけれど。
「まあまあ,もういい年だったんで。24歳とか25歳だったんで。衝撃を受けたとかは,いやべつになかったです。たまたま(似たゲームを)やってるやつがいたんで。おもしろそうだったんでやってみただけ」
「思い出に残ってるもの? そういうのもとくには。ただ見に来ただけなんで。昔やってたのがあるのかなって,チラッと見に来てる感じですね。まあ,値段高ぇとか思いますけどね(笑)」
ちょっとだけ,あの日の思い出を振り返りに来てる。
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12月22日(月)16:05
夕方。裏通りには徐々に,女性の姿が増えてきた。
ポツポツと道に立つサンタメイド。秋葉原の花。
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店内には,足早に散策している40代の夫婦がいた。どうもお目当てのものが見つからないらしい。なんていうゲームなのかな。
「おいっ子めいっ子のクリスマスプレゼントに,Switchの中古ゲームを探してるんです。(スーパーマリオ)オデッセイっていう,8年前くらいに出たゲームです。それとスマブラです」
「最初は,中古で探せば安そうだしって探してたんですけど。近所のお店だと箱がなくて3000円くらい。しかもスマブラはなくて。新宿の中古ショップを見たら,どっちも箱付きの中古はあったんですけど,5000円ずつぐらいして。思ってたより高かったので,ここに見にきてて」
昔ほど中古ゲームが流通しない昨今。値段も昔の肌感ではない。
「でもここのお店,Switchみたいな新しいゲームはなかったみたいで……(笑)。仕方ないので,べつのところで探さないとかもです」
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近くでは,壁際に並ぶゲーム機を見比べている男性もいた。
「スーファミを探しに来ました。親父にプレゼントしよっかなっと」
『お父さんはゲーム好きで?」
「うーん,スーファミはよくやってましたけど,それだけですね。新しいのとかはぜんぜん触ってなくて。だからスーファミで。親父がそろそろ入院するんで,その前にちょっと遊んでみさせようかなと。あっ,べつに重病とかじゃないんで。ちょっとノドが悪いだけみたいで」
男性は30代の会社員。父は最近,ノドの調子が悪かったんだそう。
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「でもこれ,ミニってあるじゃないですか? これなんなのかなって」
『ソフトが内蔵されてるやつですね。給電や接続は必要ですが』
「あ,そうなんですね。じゃあこれでいいか。小さいなら病院にも持ってけそうですし。ありがとうございます。これ買います」
『ただ,やりたいソフトが入ってない可能性も』
「あー,そーゆー。そっかあ。どうしよ。ん〜〜〜」
オリジナルとミニ。どちらにするか。悩ましい時間が続く。
「うん。やっぱミニにしときます。マリオとかゼルダとかならやるでしょうし。これにします。ちなみにこれ,2人で遊べますか?」
『コントローラが2つ入っていたはずです』
「そうなんですね。ありがとうございます。買ってきます」
お父さんと息子で,思い出のゲームを遊ぶ。
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5階で,古い卓球ゲームを遊んでいる夫婦と出会った。
C氏「知り合いにゲームをプレゼントするために来ました。Switchのちょっと古いゲームなんですけど,新品はあんまりもう売ってないようで。人気もあんまりないゲームだったので,ちょっと探しに来てて」
『お知り合いは,ゲームを一緒にやる仲なのですか』
D氏「やってたよね。お母さんだもんね」
『お母さんが,ゲーム好きで?』
D氏「そうです。だいぶ昔から(笑)」
いくらゲームが上手でも入手困難な,ゲームに理解のあるお母さん。
C氏「僕はそこまでゲームやらなかったんですけど,家系的にお姉ちゃんも母もゲーム好きだったんですよ。それで家にゲーム機があって,僕も触れてたって感じです。母はとくにダビスタってのが好きで,ずっと昔に出た(ニンテンドー)DSのダビスタをずっとやってて」
D氏「だから,何年か前にSwitchで出た,新しいほうのダビスタをやらせようかって,この人が探しに来たんです。私たち,最初に(ビルの)上から見に来たので,まだ見つけられてないんですけど(笑)」
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『お2人も最近,ゲームを遊びましたか』
D氏「やっても,ポケモンばっかりだよね?」
C氏「そうね。ここも1人1台な感じで,対戦やったりとか」
『好きなポケモンはいますか』
C氏「あー,なんだろ。昔から好きなポケモンはいるんですけど,(最近のゲームには)あんまり出てくれないんだよなあ〜」
D氏「ポケモンも今は1000匹くらいいるんで。(作品によって)出たり出なかったりなので。私が好きなゼニガメもですね」
C氏「僕はオオタチってポケモンです」
D氏「(足下の靴下を指して)これがオオタチ」
一番好きなポケモンは,一番好きな奥さまと一緒にいた。
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12月22日(月)18:23
夜。すっかり日が暮れた裏通りは顔色を変える。
忙しない人たちが去っては立ち止まる,夜の繁華街。
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店内で,棚からゲームソフトを抜き差ししては悩んでいる男性を見つけた。眺めているのは,怖そうなホラーゲームが多め。
「今日はなにしにってわけじゃないんですけど,プレステ2のタイトルをちょっと探しに来ました。なんとなくっていう感じです」
『なぜ,PS2なのですか』
「PS2のころ小学生だったんですけど,親に買ってもらえたんです。でも当時は買えなかったタイトルがいっぱいあって。大人になって振り返ってみたとき,急にやってみたくなったんです」
「当時はRPGばかりだったんですけど,逆にそれ以外のは触れてこなかったので。シミュレーションとかアドベンチャーとかそういうやつ。なかなか,このなんていうんですかね。こうラインナップというか,こんだけの品ぞろえで,この保存状態で見ることもなかなかできませんし」
「とくに,このパッケージデザインというか,この雰囲気が大好きで。やっぱね,ハードが変わるたびにパッケージも変わるんですけど,思い出深いプレステ2のパッケージが一番好きだなって」
男性は今日,関西からやって来たんだって。仕事で東京に来るたびに,この店には必ず寄っているんだそう。
「僕は関西の人間で,東京に来ることがあったら絶対ここに寄ってます。このお店の,この感じが好きで。毎回なにか買って帰ってます」
『前回はなにを買いましたか?」
「SIRENですね。初代の1です。もう怖がりながらクリアしました」
今日も,懐かしく新しい出会いを探っている。
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会社帰りやお出かけの人たちでにぎわう店内で,ワーキャーと弾む黄色い声。女子の2人組が楽しそうに,にぎにぎしく物色している。
E氏「私,ゲームボーイ持ってて」
F氏「ゲームボーイのカセットとか探しにきてんだよね」
E氏「まだ来たばっかりで,目当てもとくにはないんですけど。これどんなのかな,おもしろいのあるかなって。手に取って見てます」
『やるのはゲームボーイなんですか?』
E氏「ゲームボーイです。最近(ゲームボーイ本体の見た目の)改造とかいろいろやってる人がいるじゃないですか? 私もそれ見て,ちょっとやりたいなって思って。海外から画面の板とか取り寄せて,自分ではんだごてでジューってやってます」
F氏「私,MOTHER。MOTHER買おうよMOTHER」
E氏「MOTHERいいよね。でも高いんだよね」
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2人とも若いのに,レトロゲーム歴はなかなか長いという。
E氏「かなり好きですね」
F氏「めっちゃやりこんだな」
E氏「私,ドット絵とかがすごく好きで。最近はアプリでドット絵とか作れるじゃないですか? ああいうので描いてみたりとかしてます。もともと学校がそういうそっち系だったので」
F氏「任天堂の全部持ってる。高校んとき買いにいったんだよね」
E氏「ゲームボーイ,なんであんな欲しくなったんだろーね」
F氏「分かんないけど。魅力を感じたんだよね」
E氏「将来性を感じたんだよね」
『それは,何年前の話ですか』
E氏「今が22歳だから,6〜7年前? 当時,ゲームボーイがこれから来るぞ! って予感があったので。それで普通に(トレンドが)きちゃったから,やっぱり売れたじゃん! 普通にレトロゲームの時代きたじゃん! って感じで。だから先に買っといてよかったなーって」
古いゲームの思い出は,今から作られてゆく。
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閉店まもなくの19時ごろ。1人の男性が店内をうろついていた。手に持っているのは,見慣れない黄色い札。なんだろう。
「これ,ゲームの買い取り待ちです。(査定に)20分くらい? 時間は聞いてなかったんですけど,呼ばれるのを待ってる状態です」
『なにを売られるんですか』
「昔のレトロゲーです。実家に帰ったとき,いっぱいあったのを売りに来ました。昔のポケットモンスターの緑とか銀とか,親が取っててくれてたんです。銀は箱があったんですけどね。ちょっと箱が見当たらないものもけっこうありました。記憶ではあったはずなんですけどねえ」
「一昨年とかに,ポケモンカードが実家にあって。(ネットで)話題になってたので実際に売ってみたら,それがまたいい値段になりまして。ビックリしました。じゃあ,もしかしたら今回も,的なので」
男性は古いゲームを遊ばず,最近のゲームばかり遊んでるんだって。
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「プレステ5とか買ったので,昔のはまったくやらないです。惜しいとかもなくて,きっぱり割り切れてます。最近はもうずっとモンスターハンターシリーズをやっていましたし,Switch2の抽選もとおっちゃったので。帰りに秋葉原で本体カバーとか買っていきたいなって」
「今日は古いゲームを12本くらい持って,千葉から来ました。まあ仕事でこっちに来てるので。仕事終わりに来た感じです」
『ご実家が千葉なんですか』
「いえ,秋田です。正月も実家に帰ります」
『新幹線は取れましたか』
「ギリギリ6時30分」
『夜の?』
「朝の(笑)」
男性には,買い取りの様子も見させてもらうことにした。
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しばらくすると店内にアナウンス。「1番でお待ちの方」。彼だ。
レジ前に移動し,店員さんから説明を受ける背中を見つめる。今回の買い取り価格は,ソフト16本で計2万2100円。なかなかのお値段。
男性はとくに悩むこともなく,領収証にサイン。受け取ったお金を財布にしまうと,帰り際,ひと言だけ感想を耳打ちしてくれた。
「期待してたよりは,ちょっと少なかったですね(笑)」
そう言って,男性は退店していった。ありし日のひとときを楽しませた昔の思い出が,まだ見ぬ新しい思い出へとつながってゆく。
(ここEDテーマ! いつものイントロ入ります! ハイ脳内演奏!)
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「普通のファミコンを探しに来たんです。ずっと興味あります」
「私は一度,本物のファミコンを買いたいと思ってます」
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「中国だとやっぱり,小さいころはファミコンやゲームボーイが珍しいです。大きくなったら本物を買ってやりたいなと,ずっと思いました」
「本物のファミコンで,本物のスーパーマリオをやりたいと思います」
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■取材協力
店舗:スーパーポテト 秋葉原店
住所:東京都千代田区外神田1丁目1−2 北林ビル 3階〜5階
営業:全日11時00分〜20時00分
公式HP:https://www.superpotato.com/
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