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大好きなおばあちゃんのために団地の夏祭りを復活させよう。「Danchi Days」は,明るく楽しいゲーム体験の中に,社会的なメッセージをほどよく組み込んだADVだ[BitSummit]
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本作は,Sandy Powder氏,Melos Han-Tani氏,mogumu氏の3名からなるgingham gamesが開発しているタイトルだ。
ビジュアル面は,一見すると明るく楽しげでポップな印象を受けるが,プレイしてみると高齢化社会や認知症問題など,社会的なメッセージ性をうまく組み込んだ作品となっているのが分かった。
主人公は,「トアル団地」に引っ越してきた12歳の少女ホシノ。彼女は5歳のころにトアル団地で暮らしていた時期があり,幼なじみの少年リオと一緒に大好きなおばあちゃんから,いろいろなこと教えてもらいながら日々の団地生活を過ごしていた。
しかし,あれから7年経った現在,元気だったおばあちゃんは認知症を患ってしまい,なにを言っても上の空。大好きだった団地の住民も高齢化が進んでいて,かつての活気を失っていた。
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そんな元気のないおばあちゃんだったが,かつて団地で開催された夏祭りのチラシにだけは,生き生きとした反応を示す。ホシノのお父さんによると,おばあちゃんは夏祭りの委員長を務めていたのだそう。
ホシノは,大好きなおばあちゃんに元気になってもらうため,団地に活気を取り戻すために委員長となり,夏祭りを復活させることを決意する。
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ゲームの目的は,団地を探索し,夏祭りに参加してくれる人たちを集めることだ。
団地に住む住民たちは非常に個性的で,水飲み場をひたすら磨くお姉さん「イズミ」,日光の影響で熱されたすべり台の危険性を警告するため,すべり台で目玉焼きを調理するおじさん「タマモリ」など,コミカルでインパクトのあるキャラクターが多数登場する。
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団地の住民たちは悩みを抱えていることがあり,それを解決してあげたり,「五感ゲーム」というミニゲームをクリアしたりすると距離が縮まり,仲良くなることで夏祭りに誘えるようになる。
五感ゲームは,かつておばあちゃんがホシノに教えていた「五感で感じること」をミニゲーム化したものであり,どれも直感的な操作でサクッとプレイできる。
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しかし,皆が夏祭り復活に好意的かというとそうではない。ネット記事の中には,団地へのネガティブな印象を発信し,夏祭り開催に反対する人たちもいる。こうしたトラブルや人々に,ホシノがどう答えを見つけていくかも,本作の見どころの1つになっている。
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一通りの試遊を終えてみて,本作はエンタメ性と社会的なメッセージ性のバランスが非常に巧みに組み合わさっていると感じた。夏祭りの復活を大目標としつつ,新たなマップに進むたび,個性的な住民と出会い,謎解き要素にぶち当たるため,「次のマップにはどんな住民や仕掛けがあるんだろう」とどんどん先に進みたくなる。
そして,楽しいことだけでなく,現代で起きている社会問題に切り込むメッセージがはさまることで,プレイ中は一瞬手を止めて考えさせられる。そうした深みが本作の魅力であった。
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本作のシナリオライターであるSandy Power(サンディ)氏によると,ゲーム内で提示される高齢化社会や認知症問題などは,実際にサンディ氏が身近に感じていることだという。
サンディ氏はブースで,団地への愛や自身が今感じている社会的問題について非常に熱く語ってくれた。ホシノが作中で語る「団地の本当の姿を伝えたい」という思いは,サンディ氏が抱える思いでもあるようだ。
楽しく,せつなく,ときに考えさせられる「Danchi Days」は,2026年発売の予定で開発が進められている。
Steamでは本編を約90分間たっぷり遊べる体験版も配信されているので,興味の湧いた人はぜひプレイしてみてほしい。
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「Danchi Days」公式X
「BitSummit」公式サイト
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