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「Lost and Found Co.」は,タイ発の“観察と発見”のADVゲーム。スタジオのキーマンに聞いた,本作の魅力とタイのインディーゲーム開発事情[BitSummit]
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BitSummit the 13thの会場で,同作を手がけるタイ・チェンマイのインディーゲームスタジオ・Bit Eggの共同創設者でCEOのRichmond Lee氏に話を聞いた。
「Lost and Found Co.」は,観察力を試される隠しアイテム探しや,事務所のカスタマイズ要素など,シングルプレイ向けの遊びごたえあるモードが多数用意されている。アニメや漫画といった日本のポップカルチャーの影響を大きく受けており,本作の手書き風の温かみあるビジュアルはもちろん,キャラクターや背景など,いろいろなところに日本の文化や,作品のオマージュが散りばめられている。
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「このゲームが世界一のHidden Object(探しもの)ゲームだと思っています」と語るRichmond Lee氏は,本作のビジュアルとアニメーションもまた大きな特徴であるという。実際にゲームイベントで展示すると,通りかかった来場者が自然と足を止め,見知らぬ人同士が一緒に画面をのぞき込んで探しものを始めるなんて光景もよく見られるそうだ。
また,集めたアイテムを使って自分の部屋をカスタマイズする“ガチャルーム”的な要素も実装されており,短時間のプレイでも,長くじっくりと遊べる内容になっているという。
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ゲームの話からは自然と,タイのゲーム業界の話題にも広がっていった。Richmond Lee氏によれば,タイのゲーム開発界隈はまだ若く,2000年頃から本格的な商業ゲーム開発が始まったという。そして,2000年代後半にリリースされたiPhone向けパズルゲーム「Unblock Me」が世界的にヒットしたことが,国際的な注目を集めるきっかけになったと話す。
それ以降は,モバイルゲームの普及とともに開発者の数も増え,近年では「自分たちが子どもの頃に好きだったゲームを,自分たちで本気で作る」ようなスタジオが出てきているという。かくいうBit Eggもこれまではモバイル向けのカジュアルなゲームを作っており,本作が本格的なPCゲームとしては初めての作品となるそうだ。
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「ファミコン,スーパーファミコン,PlayStation……世代によっては上上下下(いわゆるKONAMIコマンド)も分かりますよ(笑)」と話してくれたように,タイではコントローラで遊ぶビデオゲームが親しまれており,日本のゲームの影響もまた大きいそうだ。
今ゲーム開発をしている人たちは,そんなビデオゲームで育った世代で,タイで人気の「レイトン教授」シリーズなど自分の好きなゲームの影響が大きく,本作もそれの一つだとか。
また,タイの開発者は「少し変わったユーモア感覚を持っている」と笑いつつ語り,それが作品にもにじみ出ているという。「スウィートホーム」のようなホラー作品へのリスペクトや,“ポーターゲーム”(配達や探索などをテーマにしたジャンル)への嗜好もあるそうだ。
「Lost and Found Co.」は現在のところPC向けにリリース予定で,「まずはPC版を完璧に仕上げ,来年以降にはコンソールへの展開も目指したい」との話だった。意欲的な開発者たちが確実に存在感を高めているタイのインディーゲームシーン。Steamの登録者数を聞くと,それを引っ張っていく存在になりそうで,今後も注目したい一作だ。
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「BitSummit the 13th」公式サイト
4Gamer「BitSummit the 13th」まとめページ
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Lost and Found Co.
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