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神話が交錯する死後の世界で繰り広げられる,リスクと報酬のギャンブル。Wolcen Studioの「Gods, Death & Reapers」とは[gamescom]
開発コードネーム「Project Pantheon」の正式タイトルが「Gods, Death & Reapers」に決定。北欧神話の世界を舞台にしたハクスラアクション

Wolcen Studioは2025年8月20日,ドイツ・ケルンで開催中のgamescom 2025で,新作タイトル「Gods, Death & Reapers」を発表し,最新トレイラーを公開した。本作は,敵から装備を奪う“エクストラクションシューター”と,ハック&スラッシュのメカニクスを融合させたアクションゲームとなる。
本作は,エクストラクション型ゲームプレイとハック&スラッシュの要素を融合させた,基本プレイ無料のアクションRPGだ。
現地ではWolcen StudioのAndrei Chirculetu氏に説明を受けたのち,実際にプレイしてきたので,ゲーム概要とあわせて感想をお伝えする。
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まずは世界観から解説しよう。舞台となるのは,かつて神話が現実として存在していたファンタジー世界だ。北欧神話,エジプト神話,ギリシャ神話,アステカ神話……世界中のあらゆる神話が共存していたこの世界で,ある日突然,すべての神々が謎の消滅を遂げてしまう。
残されたのは,主を失い混乱に陥った世界と,死そのものの化身である「デス」のみ。プレイヤーはデスに選ばれた「リーパー」として,彼の領域を再構築し,世界に再び均衡をもたらすという壮大な計画の一端を担うことになる。
Chirculetu氏は,「プレイヤーはデスの道具として,死にゆく領域から資源や装備を奪い取り,新たな死後の世界『The Sanctuary』を築き上げていく」と語る。神々の消滅という謎を解き明かしながら,崩壊した世界の秩序を取り戻すとは,なんとも壮大なストーリーだ。
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本作の最大の特徴は,PvPvEのエクストラクション型ゲームプレイだ。プレイヤーは拠点であるThe Sanctuaryで装備を整え,危険な戦場へと挑む。各ミッションは文字通り“ギャンブル”であり,強敵との死闘や他プレイヤーとの熾烈な衝突を生き延び,戦利品を持ち帰らねばならない。このとき,死ねば所持していたものをすべて失う。
実際にプレイしてみると,この緊張感がたまらない。マップに入った瞬間から,「今回は無事に帰れるだろうか」という不安と期待が入り混じる。NPCの敵も決して弱くはなく,油断すればあっという間に体力を削られてしまう。そこにほかのプレイヤーという予測不能な要素まで加わることで,戦闘はさらに複雑さを増していく。
所持品をロストするルールは,近年ではいくつか他例がある要素とはいえ,一見すると過酷に思えるかもしれない。しかし,だからこそ脱出に成功したときの達成感はひとしおだ。リスクが高いぶん,レアな装備を手に入れて無事に帰還できたときの安堵感と興奮は格別だった。
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戦闘システムにおいて特筆すべきは,本作がクラスレスアクションRPGであるという点だ。プレイヤーは初期クラスを選択することなく,装備しているギアによってアビリティが決定される。
つまり,剣を装備すれば近接戦闘のスキルが,杖を装備すれば魔法系のスキルが使用可能になるという具合だ。
このシステムのすばらしさは,実際にプレイしてみるとよく分かる。最初は近接戦闘で挑んでいたが,強力な魔法武器を手に入れたことで,プレイスタイルをガラリと変えられた。装備の組み合わせ次第で,タンクにもなれるし,アサシンにもなれる。この自由度の高さは,プレイヤーに常に新しい発見と実験の楽しさを提供してくれる。
Chirculetu氏によれば,「各アイテムが新しい遊び方を提供することで,プレイヤーは常に新鮮な体験ができる」とのこと。確かに,新しい装備を手に入れるたびに「これはどんなスキルが使えるんだろう」とワクワクする感覚は,本作ならではの魅力だ。
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操作系はシンプルな設計で,WASDキーで移動となる。回避はSpaceキーで発動する「ドッジロール」で行う。こちらは3回分のチャージ制となっており,使い切るとクールダウンが発生する。
基本攻撃は左クリック,各種アビリティは右クリックやマウスのホイールボタンなどに割り当てられている。
フィールドに落ちているアイテムは右クリックでまとめて取得できるため,戦闘中でもスムーズにルート(戦利品回収)できる。
グラフィックスは,Unreal Engine 5を採用していることもあり,神話の世界が美しく表現されている。とくに印象的だったのは,北欧神話の世界の荒涼とした美麗さだ。廃墟と化した神殿,凍てついた大地,そして神々の亡骸らしき巨大な構造物が,世界の終末感を見事に演出している。
しかし,単に美しいだけではない。Wolcen Studioは,GTX 1650での60FPS動作を目標として最適化を進めているという。実際にプレイした感触では,グラフィックス設定を調整すれば,ミドルレンジのPCでも十分に楽しめそうだった。この「多くの人に遊んでもらいたい」という姿勢は,基本プレイ無料のビジネスモデルとも合致している。
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開発でとくに注目すべきは,プレイヤーからのフィードバックを重視する姿勢だ。2025年1月から行われているクローズドアルファテストでは,技術検証に始まり,ゲームプレイフィールの調整,ストーリーやクラフティングシステムの導入など,段階的に検証を重ねてきたそうだ。
筆者が体験したのはクローズドアルファ3.1に相当するビルドだったが,すでに基本的なゲームプレイの完成度が高く,十分に楽しめるレベルに達していた。今後は,この冬に予定されているクローズドアルファ5で,ゲーム内エコノミーに焦点を当てたテストを実施するという。
「アイテムに経済的な価値がなければ,エクストラクションの意味がない」というChirculetu氏の言葉は,本作の核心を突いている。
事実,失うリスクと得る報酬のバランスこそが,エクストラクション型ゲームの醍醐味だ。このバランス調整を,コミュニティと共に進めていくという姿勢は,長期的な成功に必須かもしれない。
現在は北欧神話を中心にコンテンツが構築されているが,今後はエジプト,ギリシャ,アステカ神話が順次追加される予定だ。
各神話の追加ごとに,新しいマップ(1つの神話につき約3つ),新しい勢力,多数のアイテム,新しいストーリーライン,キャラクター,プレイヤーのカスタマイズ要素が追加されるという。
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さらに興味深いのは,将来的にシングルプレイ用のストーリーキャンペーンや,PvE協力ミッションも実装予定という点だ。エクストラクションの緊張感を楽しみたいプレイヤーも,ストーリーをじっくり楽しみたいプレイヤーも,それぞれのスタイルで本作を楽しめるようになる。
早期アクセスの開始は2026年の目標とされており,そのあとは約4か月ごとのアップデートが計画されている。まだ先の話ではあるが,クローズドアルファテストへの参加はSteamページから申し込み可能だ。興味を持った人は,ぜひ参加してみてほしい。
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「Gods, Death & Reapers」は,エクストラクションとハック&スラッシュという,一見すると相性の悪そうな要素を見事に融合させた意欲作だ。実際にプレイしてみると,この組み合わせが生み出す独特の緊張感と達成感は,確かに新しいゲーム体験を提供してくれる。
神々なき世界で,死神の道具として戦い,新たな死後の世界を築く。そんな壮大な物語の一端を担えるのは,2026年の早期アクセス開始まで待たなければならないが,それまでのあいだもクローズドアルファテストで開発に参加できるチャンスがある。
Wolcen Studioは前作「Wolcen: Lords of Mayhem」で160万本以上の販売実績を持つが,本作ではさらに野心的な挑戦をしている。150名以上のスタッフで開発を進める本作の展開に注目したい。
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最後に,以下の動画はゲームプレイの様子となる。
気になる人はあわせて目をとおしてほしい。
4Gamer「gamescom 2025」記事一覧
「gamescom 2025」公式サイト
- 関連タイトル:
Gods, Death & Reapers
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