
プレイレポート
[プレイレポ]筋肉で踊って“ピストンゲージ”を回復!「超兄貴 爆烈乱闘篇」は,豪快さと戦略性を併せ持つ空中浮遊肉体美対戦格闘
![]() |
もちろんイカす筋肉と緻密なドット絵は健在で,特定の行動に必要な「ピストンゲージ」を巡る攻防には独特の味がある。相手を「悶絶」させたら,筋肉を躍動させつつ放つ必殺コンボ「アニマゲドン」を決めて勝利をつかみ取るのだ。
![]() |
「超兄貴 爆烈乱闘篇」公式サイト
筋肉で踊って「ピストンゲージ」を回復させる,豪快さと戦略性を併せ持つ空中浮遊対戦格闘
1992年にメサイアが展開をはじめた「超兄貴」シリーズは,いまでも多くのゲームファンに強い印象を与え続ける作品だ。
1作目と2作めはともにシューティングゲームで,「超兄貴」は,オプションキャラクターとして登場する2人組の兄弟“アドン”と“サムソン”,「愛・超兄貴」は“コマンド入力によるポージングの使い分け”が大きな特徴となっている。
3作めである「超兄貴 爆烈乱闘篇」は,なぜか格闘ゲームとして登場した。「超兄貴」の自機であったイダテンとベンテン,オプションのアドンとサムソン,そしてボスであるアダムやサブ―,ボ帝といった面々が,惑星NCS超メサイヤ人が主催する「第一回天下一武闘会」で優勝するため,戦うことになる。
しかし,シューティング出身の彼らが地上を歩くはずもない。彼らは地面のないフィールドを飛行し,パンチやキックといった格闘の技で戦うのである。
そのため,自分が攻める際は高度を合わせ,避ける際は高度を変えるという独特の考え方が必要になる。弾を放つ必殺技も,敵の高度を見て上方向版や下方向版を使い分ける必要があるのが面白い。
![]() |
本作独特の要素が「ピストンゲージ」だ。必殺技を出す,ダッシュする,ガードするなどの条件で減少し,ゼロになるとしばらく動けない「悶絶」状態に陥る。
必殺技で減るのは「龍虎の拳」の「気力」のようでもある。またガードやダッシュでも減るうえ,尽きると行動不能になるあたり,現在のソウルライクにおける「スタミナ」の考え方に近いかもしれない。
ただ,通常技でも減り,MAX状態がデフォルトかつ回復速度も速く,尽きるとMAXまで補充されるスタミナとは異なり,ピストンゲージは通常技を出しても減らないが,MAXがデフォルトではないうえ,スタミナに比べると回復速度は遅い。
それもあり,「減る機会が多いうえに回復が遅いスタミナゲージ」で戦い続けるようなものと表現すれば,その重要さが分かりやすいだろう。
![]() 画面上部の赤いゲージが「ピストンゲージ」,黄色いゲージが体力を現す。右の「うみにん」は投げによる「悶絶」中で,レバーやボタンをガチャガチャ動かして回復するまで動けない。いわゆる気絶だが,本作では攻撃をガードしたり必殺技を出したりでピストンゲージが0になるか,投げを食らうといった条件で悶絶する。攻めていたはずなのに,ピストンゲージが尽きて悶絶するなんてことも起こる |
ピストンゲージの配分が勝敗を分けるので,プレイに慣れるまではキャラクターの動き以上にゲージの残量に注視した方がよくもある。
システムを理解していない段階でピストンゲージが少ない状態のまま戦うと,通常技を出そうとして必殺技に化けてしまったり(全方向に動き回りつつ戦うシステムであるためか,ほかの対戦格闘と比べるとやや誤爆しやすいという印象),ピストンゲージが少ないのを忘れてダッシュや必殺技を使おうとしたりといったアクシデントで悶絶状態に陥ることになるからだ。
ちなみにCPUですら,ピストンゲージの回復を怠って必殺技やダッシュから悶絶を繰り返すこともある。こちらはぜひ,反面教師にすべきだろう。
この仕組みのため,たとえ相手が悶絶しても,自分のピストンゲージが少ないなら回復に努めた方がいい。ボタンを押しっぱなしにしつつ十字キーをぐるぐる回せば「シェイクダンス」となり,うねうねと踊ってピストンゲージを高速増加させる。
シェイクダンス中は無防備なので,相手が悶絶している時や,高度を変えるなどして安全を確保する必要がある。
ピストンゲージのリソース管理を怠ると形勢が簡単にひっくり返ってしまうので,とにかくゲージの残りと悶絶には注意しておきたい。
![]() 回復の「シェイクダンス」は,キャラクターごとに異なるモーションが用意されている |
相手が悶絶した際に決めたいのが「アニマゲドン」である。決められた順番で入力すると連続技を繰り出すというもので,3D格闘ゲームのコンビネーションに近い。
それぞれのキャラクターに独自のアニマゲドンが用意されており,コマンドを覚えておく必要がある。入力の猶予時間も非常に短いのでハードルは高めだが,上手く使えば大ダメージを与えられるだろう。
とっさにアニマゲドンの前半だけでも出せるようになっておけば心強いので,お気に入りキャラクターのものだけでも覚えておきたい。
アニマゲドンのコマンドだが,オリジナル版では公開されていなかった。キャラクターの真美19は,スティックを入れつつパンチやキックを連打するだけで発動するため見つけやすいのだが,そうでないキャラクターのほうが多いので,まずは探すところから始めないといけなかったのだ。
しかし本作では,その手間が不要になった。追加された「コマンド表」にはアニマゲドンも記載されているので,そちらを見ればいいからだ。純粋に戦いに集中できるので,対戦もより楽しくなるだろう。
![]() コマンド表を出せば,アニマゲドンや必殺技のコマンドを確認しつつプレイできる。先に述べた真美19のアニマゲドンはとくに簡単に設定されており,初心者向けキャラクターとされているのがうかがえる |
また,巻き戻しやゲーム速度変更,どこでもセーブといった定番機能に加え,評価の高い音楽もミュージックモードで楽しむことが可能だ。
注目したいのが当時の取説である。構想段階では「兄貴育成」だったものが,「アクションロープレ」を経て,最終的に現在の「空中浮遊型対戦格闘ゲーム」に落ち着いた……なんて裏話も赤裸々に書かれている。さらに,コミック版やCD「超兄貴ショー」,プライズのキーホルダーといった関連グッズの広告も載っており,「愛・超兄貴」と「超兄貴 爆烈乱闘篇」の2作が発売された兄貴イヤーの熱気が伝わってくる。
![]() ファンクラブ募集という時代性を感じさせるコーナーも |
![]() ホーム画面の箱は3Dになっており,スティックでぐるぐると回せる。「うみにん」はキャラクターグッズ化されるほどの人気を博したが,本作でも箱の裏でシルエットとしてフィーチャーされている |
![]() ROMカートリッジの写真も見られる。グレーのボディが懐かしい |
「超兄貴 爆烈乱闘篇」のオリジナル版が発売された1995年は,格闘ゲームのブームが落ち着いてきた頃だ。同ジャンルのタイトルは,まだ多くリリースされいたが,複雑化するコマンド入力への不満の声もあがり始めていた時期でもある。
それもあってか,本作は画面下に方向キーやボタンの入力ログを表示するようになっており,コマンド入力を分かりやすくするための施策を取り込んでいたことがわかる。
![]() |
ドットで描かれたグラフィックスは,いま見ても非常に美しい。大きなキャラクターはビルダー体型を基本に肉付きの個性も描き分けられており,限られた解像度でありながら筋肉の細かなディテールまで表現されている。
彼らがシェイクダンスで滑らかに動くさまにはえもいわれぬインパクトがあり,「真剣に対戦していたはずが,いつの間にかシェイクダンス合戦になって大笑いしていた」という思い出もよみがえってくる。
![]() |
![]() |
![]() ドット絵は現在の視点から見ても美しい |
![]() |
![]() エンディングや楽曲も鑑賞できる |
筋骨隆々のキャラクターたちが大暴れする,とにかく明るい作品が「超兄貴 爆烈乱闘篇」である。もともとシリーズの初期作を収録した「超兄貴COLLECTION」のストレッチゴール達成で移植が決まったという経緯があり,ファンにとっては必見の一本といえるだろう。唯一無二のシリーズだけに,新たな展開も期待したいところだ
「超兄貴 復活応援プロジェクト」,ストレッチゴールとしてSFC版「超兄貴 爆烈乱闘篇」の移植を設定。目標金額は1000万円

「超兄貴COLLECTION」公式Xは本日(2024年7月31日),クラウドファンディングサービス「Makuake」で実施中の「超兄貴 復活応援プロジェクト」に,ストレッチゴールとして「SFC版『超兄貴 爆烈乱闘篇』の移植開発」を設定したことを発表した。目標金額は1000万円となる。
![]() |
「超兄貴 爆烈乱闘篇」公式サイト
- 関連タイトル:
超兄貴 爆烈乱闘篇
- この記事のURL:
キーワード
- Nintendo Switch:超兄貴 爆烈乱闘篇
- Nintendo Switch
- アクション
- CERO B:12歳以上対象
- エディア
- プレイ人数:1〜2人
- 格闘
- 対戦プレイ
- プレイレポート
- ライター:箭本進一

(C)extreme
(C)Edia Co., Ltd.