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3体のアニマと共にダンジョンを探索する「シリアルワールド」は,気持ち良くデッキ構築の妙に触れられる国産RPGだ[BitSummit]
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「シリアルワールド」はプログラマーの前田貴志氏,デザイナーの川﨑 祥氏からなるチームSerial Projectが開発中のRPGだ。デッキ構築×ローグライクを幅広い年齢層に体験してもらうことをコンセプトに掲げており,出展されていた試遊バージョンでもその一端に触れることができた。
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「シリアルワールド」公式サイト
主人公・マイロが住む街「ブリックタウン」では,最近おかしなことが起きていた。マイロはその原因を追ううちに,街はずれの古びた小屋にある「目の付いた扉」を見つけ,そこから奇妙なダンジョンへと迷い込んでしまう。
マイロは「アニマ」と呼ばれる不思議な生き物たちと一緒にダンジョンを探索しながら,街の異変の謎に迫っていく――というのが,本作のあらすじだ。
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本作のバトルは,「Slay the Spire」に代表されるターン制カードバトルにローグライク要素を加えた,いわゆる“デッキ構築型ローグライク”となっている。
プレイヤーはあらかじめ用意しておいたデッキから毎ターンカードを引き,手札のカードを使用してアニマたちの行動を決定し,敵と戦う。
「カードを使うためにはAPと呼ばれる行動リソースが必要なこと」「敵の行動が事前に予兆として見えていること」など,基本的なルールはデッキ構築型ローグライクのお馴染みのものを採用しており,同ジャンルのゲームに慣れ親しんだ人であれば,すんなりと理解できるはずだ。
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独自の要素としては,バトルに3体のアニマが同時に参加することが挙げられる。アニマにはそれぞれHPが設定されており,誰かが力尽きてもほかのアニマは戦闘を継続できる。
また,攻撃手段となるカードもそれぞれのアニマに紐づいており,「どのアニマがどんな攻撃を繰り出すのか」が記載されている。
敵の攻撃も分散するため,「このターン,狙われているアニマにブロック値を付与してダメージを軽減してあげる」といった,いかに守るかを考える戦略性も生まれている。
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バトル中,コストと引き換えにアニマを「進化」させることも可能だ。進化したアニマは「このターンのあらゆるダメージを無効化する」「手札を上限値の9枚まで引く」といった強力なスキルを発動するため,劣勢な戦況をひっくり返せる切り札として活用したい。
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バトル全体を通じて,気持ち良くデッキ構築の楽しさに触れられる作りになっていると感じた。とくにプレイしていて印象的だったのが,ほかのアニマが行動すると,必要なAPコストが下がっていくメカニズム「アニマレンダ」を持つカードの存在だ。
これをしっかり活用できると,手札を余らせることなく効率よく使い切り,高い攻撃力を叩き出せる。アニマレンダがつながると非常に気持ち良く,手札を使ってコンボをつなげるカードゲームの面白さをしっかりと味わえた。
また,今回は体験できなかったが,APを追加で消費するとほかのアニマにバフをかけられるカードや,いわゆる毒ビルドのような搦め手を使うアニマも存在するようだ。
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ダンジョンの探索もかなり特徴的だ。代表的なデッキ構築型ローグライクだと,樹形図のように枝分かれしたマップからどのルートを選択するかを決めて進んでいく。
しかし,本作は未開拓のマップを自分の足で踏破し,次の階層に進む道を見つけたら奥深く進んでいくという,ローグライクのダンジョンRPGのような作りになっている。次の階層に進める道を見つけても,あえて寄り道をすることがメリットになるケースが多いため,ついついマップの空白を埋めたくなる。このあたり,既存のデッキ構築型ローグライクにはあまりなかったプレイ感覚といえる。
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今回プレイした感想としては,ガッツリとデッキ構築型ローグライクをプレイしているというより,デッキ構築とローグライクのエッセンスを取り入れた国産RPGを遊んでいる印象が強かった。
アニマと力を合わせて立ち向かうバトルや,あれこれと寄り道したくなる感覚はいわゆるJRPGを遊んでいるそれに近く,全体的に優しすぎず,かといって厳しすぎもしない絶妙なバランスからは,デッキ構築型ローグライクを幅広い年齢層に届けたいという意図が伝わってくる。
この手のジャンルにしては遊びやすいタイトルだったので,デッキ構築型ローグライクの入門編的なゲームとして完成を期待したい1本だ。
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「シリアルワールド」公式サイト
「BitSummit the 13th」公式サイト
4Gamer「BitSummit the 13th」まとめページ
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