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「ストリートファイター6」のプロゲーマーが講師となり,次世代を担う生徒を導く。「Red Bull 283 Academy」合宿レポート
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印刷2025/09/04 07:00

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「ストリートファイター6」のプロゲーマーが講師となり,次世代を担う生徒を導く。「Red Bull 283 Academy」合宿レポート

 レッドブルが現在開催中の「Red Bull 283 Academy」は,16〜24歳の若者を対象にした育成プログラムだ。今回は「ストリートファイター6」が用いられ,東京ゲームショウ2025イベントステージでの成果披露に向けて,選手合宿が8月下旬に東京都内で実施された。

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 「Red Bull 283 Academy」は,未来に輝く若者を育成する特別プログラムだ。今年のテーマは「ストリートファイター6」で,著名プロゲーマーたちが講師となり,プログラムに参加した生徒たちを教え導く。

 生徒は,8月に実施されたオンライン予選で選ばれた強者たち。オンライン予選はプロゲーマーを目指す「マスターコース」と,実力を向上させたい人を対象とした「チャレンジャーコース」の2部門で行われ,成績上位の12人がRed Bull 283 Academyに招待された。

 本プログラムの校長を務めるのは,誰もが知るレジェンドのウメハラ選手だ。そして講師陣は,板橋ザンギエフ選手ガチくん選手立川選手ときど選手どぐら選手ネモ選手ふ〜ど選手ボンちゃん選手という豪華布陣となっている。

 講師は2人1組となり,生徒たちのスクリム(練習試合)を見てドラフト会議を行い,有望な生徒3人をスカウトする。4つのチームは合宿と練習を経て,9月27日に東京ゲームショウ2025の会場内で行われるイベント「Red Bull at Tokyo Game Show」に出場,腕前を競い合うのだ。

校長と講師陣。国内のトッププロが集まったかたちだ
撮影:Maruo Kono / Red Bull Content Pool
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 校長のウメハラ選手による「楽しみましょう」という訓示のあと,合宿がスタート。まずは選手たちによるスクリムが行われた。スクリムは合宿で初めてのプログラムではあるが,早くもハイレベルな試合が展開。その後ろでは,選手と選手,講師と選手が分け隔てなく,和気あいあいとコミュニケーションを取っている。

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 スクリムは選手にとってのアピールの場であるが,講師陣にとってはチームに誰をスカウトするかを決める重要な場となる。選手たちに対してキキャラクター選びの理由を聞くなど,早くも決勝大会を見据えた取り組みをしていた。

 そして選手側も,講師に向けて「あなたに憧れて使用キャラクターを決めた」「できればあなたのチームに入りたい」など,積極的にアプローチをかける。講師も生徒も,良い意味でガツガツしたアスリートの集まりという印象を受けた。

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撮影:Maruo Kono / Red Bull Content Pool
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 講師陣による白熱したドラフト会議により,チーム分けが決定した。生徒たちはどのチームに入ったか知らされることなく,それぞれの教室に分けられ,講師の来報を待つことになった。

 生徒たちは待っているあいだも「本当にワクワクする」「どのチームに入ることになっても嬉しい」「今までの人生で一番幸せかも知れない」と,喜びを隠せない。このプログラムでは最年少が17歳だという。17歳で趣味を周囲に認められたうえに合宿へ招かれ,憧れのプロゲーマーから指導を受けられるというのだから,なかなかに得難い機会といえるだろう。そして教室に講師たちが訪れると,どの教室からも大きな喜びの声が上がっていた。

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撮影:Maruo Kono / Red Bull Content Pool
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チーム1:
講師:立川選手,ボンちゃん選手
マスターコース生徒:タカサワ選手,だるかわ選手
チャレンジャーコース生徒:F1zzy選手

チーム2:
講師:ガチくん選手,ネモ選手
マスターコース生徒:げんれと選手,並盛りゲコ選手
チャレンジャーコース生徒:s_usa選手

チーム3:
講師:ときど選手,どぐら選手
マスターコース生徒:とうふや選手,miLiq選手
チャレンジャーコース生徒:にらねこ選手

チーム4:
講師:板橋ザンギエフ選手,ふ〜ど選手
マスターコース生徒:あたーう選手,山崎だだだ選手
チャレンジャーコース生徒:巫女ラッシュ フマガーイ選手


 生徒たちは,チーム編成が決まるとすぐに,講師とのマッチングや自分の課題について真剣に考えていく。例えば,ふ〜ど選手,板橋ザンギエフ選手のチーム4に選ばれた生徒たちは以下のように考えていた。

巫女ラッシュ フマガーイ選手:
 クラシックのダルシムを使っています。今の課題としては,ヨガフロートやヨガテレポートを使った「分からん殺し(経験が薄い相手を幻惑できる技を使い,倒し切ること)」をやってしまっているところです。講師のふ〜どさんは同じダルシムを使っていても地上戦が強いし,私が苦手としている対空もしっかりしていますので,しっかり学んでいきたいです。

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山崎だだだ選手:
 クラシックで舞とベガを使っています。自分は板橋出身なので,板橋ザンギエフさんに選んでもらえたのかなと思います。ふ〜どさんは「先生感」が強く感じられますし,教われるのが光栄です。

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あたーう選手:
 クラシックでザンギエフを使っています。今の課題は大型トーナメントで勝つことなので,講師の方々からはこうした部分について学んでいきたいです。同じザンギエフ使いの板橋ザンギエフさんや,人に教えるのがうまいふ〜どさんが講師になってくれるのは,本当に嬉しいです。

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 そして,各教室で初のチーム練習がスタートした。練習の進め方はそれぞれの講師に任されている。まず考え方の座学から始めるチームがあれば,講師との対戦がスタートするチームもあり,操作モードに合わせた通常技の使い方をみっちり解説したり,リプレイ機能を使って感想戦をするところもあったりと,実にバラエティ豊かだ。

 練習を一休みして教室を出たかと思えば,そのままホールで「ストリートファイター6」の対戦を始めるようなチームもあり,とにかく濃密な時間が流れていく。

 生徒たちは2日間の合宿を経たあと,9月27日に行われる決勝戦に挑む。尊敬する講師とくつわを並べ,大観衆が見守る中でアスリートとして戦うというのは,若い才能にとってすばらしい経験となることだろう。

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 当日は,校長のウメハラ選手と8人の講師に,大会への意気込みや生徒に教えることなど,今回の大会について話を聞いたので,これをお伝えして本稿の締めくくりとしたい。

●ウメハラ選手
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4Gamer:
 校長就任おめでとうございます。「ストリートファイター6」ではコーチングの文化が盛んですが,「ゲームを人に教えること」についてはどう考えられていますか。

ウメハラ選手:
 近年のゲーム人気によるムーブメントだと思います。自分はあまりこうしたことをやってこなかったんですが,ほかの講師たちは教えるのがうまいなと思いながら授業を見ていました。生徒の皆さんの成長が楽しみです。

4Gamer:
 生徒たちを見ての感想を教えてください。

ウメハラ選手:
 10年ほど前に同様の企画があったんですが,そのときとは生徒たちの雰囲気が変わった印象があります。先ほどゲームの人気が上がったという話をしましたが,ここ10年ほどで「一見ゲームをしていなさそうな雰囲気の方」が増えたと感じています。ゲームを遊ぶ層が広がっているということで,いいことですよね。

4Gamer:
 もしも,ゲームを教える学校の校長になって欲しいというオファーがあればどうされますか。

ウメハラ選手:
 現時点では,競技者としての自分があるので受け入れないと思います。ただ,何を伝えていくかを考えるのは楽しそうだとも思っています。

4Gamer:
 あくまでも仮定の話ですが,その立場になったとき,どういったことを伝えていかれたいと思いますか。

ウメハラ選手:
 もし何かを伝えるとなると,自分の世代で経験したこと,振り返って良かったと思えたことになるんでしょうね。

 ただ,これが今の若い人たちにとっても同じように感じられるかは分かりませんし,押しつけになることがあるかもしれません。だから,自分にとって役に立ったことや,逆に自分はやらなかったけれどやったほうが良かったと感じられることを伝えるのがいいのかもしれません。

 例えば,英語はかなり重要なスキルで,絶対に喋れたほうがいいと思います。ゲームの世界で生きていくのであれば海外に行くことも多いですし,配信者としてキャリアを積むとしても英語があったほうがいいわけです。

 もう一つの重要なポイントはコミュニケーションです。自分の若いころはゲームセンターというコミュニティで,自然とコミュニケーションに慣れていくというものでした。しかし,今はオンラインがメインになっているため,人と話す機会がなくゲームだけうまくなっていくこともあると思います。ただ,自分の時代とは違いますから,それらをうまく伝えることもすごく難しいと感じられますね。

4Gamer:
 なるほど。技術論というよりは,心構え的なところになるわけですね。

ウメハラ選手:
 確かに技術は大事です。しかし,タイトルやゲームのバージョンが変わることもあります。だから,もし自分が何かを教えるのであれば,状況が変化したときやプロゲーマーを引退したあとに残るものでなければいけないと思うんです。

 自分の時代はゲームが仕事になりませんでしたから,ゲーム以外のことも考えなければいけませんでした。でも,今はゲームだけやっていける時期は,それ以外のことを求められない側面もあり,これはちょっと危険なことだと感じています。

 メジャースポーツとゲームの大きな違いは,タイトルが変わっていくという点です。タイトルが変わっても対応できるくらいにうまくないといけないので,その点は意識してもいいのかなと思います。

4Gamer:
 どのタイトルにも対応できるような考え方や腕前を持ちつつ,ゲーム以外のことも考えられるような心構えが必要なわけですね。ありがとうございました。

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●チーム1講師:ボンちゃん選手,立川選手
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4Gamer:
 今回の生徒たちを見ての感想をお願いします。

ボンちゃん選手:
 マスターコースの生徒は,プロとしてスパーリングをしたいと思えるほどに強い子たちです。ウチのチームにもレアな部類のキャラクターを使う子もいて,強くなりそうな雰囲気を感じました。

立川選手:
 「ストリートファイター6」からゲームを始め,プロを目指す人が多くて,新しい風だと思います。

4Gamer:
 生徒たちを教えるにあたり,ご自身の時代との違いを意識することはありますか。

ボンちゃん選手:
 自分の時代には人からゲームを教えてもらうということがなく,強くなるには自分の力しか頼れませんでした。今だと正しい練習をしてきた人の知恵を使えますし,調べれば効率よく練習できる。昔とは大きな違いだと思います。

立川選手:
 僕の場合は8年ほど前に開催された「Red Bull 283 Academy」の前身的な催しにずっと通っていました。ウメハラさんやマゴさんといったプロゲーマーの人たちが来て,対戦しながらいろいろと教えてくれるというもので,そこで強くなったという意識があります。

 だから,教えてもらうことの大切さやありがたみ,こうした環境をもらえることの大事さは理解しているので,今回参加できた子たちはラッキーですし,いいものを持ち帰ってもらいたいですね。

4Gamer:
 正しい練習,というお話がありましたが,やはりスポーツと同じで正しい練習や間違った練習があるのでしょうか。

ボンちゃん選手:
 時間の効率的な使い方といったほうが正確かもしれません。効率よく使えれば,ほかの練習に使える時間も増えますし。回り道をすることが悪いこととはいいませんが,自分で気付けるかどうかは重要だと思います。

 教えてもらう機会があれば,現役で活躍している人たちから話を聞けますし,経験談には個人では追いつけない知恵があります。

立川選手:
 スポーツでも新しい世代ほど新記録が出るということがあると思うのですが,それは効率よく練習できているというのも一つの理由だと思っています。

 今の若い子たちが自分と同じ年齢になるころにはもっと強くなっているでしょうし,そうなるよう教えていくのが今の世代の役割だろうとも思っています。

4Gamer:
 「ストリートファイター6」ではコーチングの文化が盛り上がっていますよね。

ボンちゃん選手:
 教える機会も増えましたね。そのうえで,楽しいと思ってもらえるようなお手伝いをしているつもりです。ゲームも楽しくないと続けてもらえませんから。強くなったほうが面白いし,勝てたほうが面白い。今だとイベントも増えましたし,そこを目標にするのもいいですね。

立川選手:
 そこは同じですね。楽しいと思ってもらうのが一番大事だと思います。

4Gamer:
 では,決勝大会に向けての意気込みや,生徒に何を教えたいかについてコメントをお願いします。

ボンちゃん選手:
 イベントが終わっても,ここで教わったことを応用して強くなっていけるような教え方を理想としていきたいです。

立川選手:
 どうやったら強くなれるかの考え方をいちから教えたいと思います。イベントが終わったあとも自分自身で練習して,うまくなっていってほしいですね。


●チーム2講師:ガチくん選手,ネモ選手
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4Gamer:
 よろしくお願いします。まずは生徒たちを見ての感想をお願いします。

ガチくん選手:
 みんな若いし,強いですね。若い人はレバーレスコントローラを多く使っている印象がありましたが,この合宿に来た人はほかのデバイスも多くてちょっと意外でした。僕らのチームはパッド2人,レバーレス1人でしたし。

ネモ選手:
 チャレンジャーコースの人は,教えてもらうことが少なかったと思うので,その分どんどん伸びていくと思います。精度が高まっていけばもっと面白い試合ができるようになっていくはずです。

 マスターコースの2人は,なんなら自分が対戦したいと思うくらいに強いです。とはいえ経験が少なく,「勝ちパターンだったシーンを見逃している」「ゲージ状況のチェックが甘かった」といった戦略的に足りない部分が見られたので,そこを教えることで成長を促したいですね。

4Gamer:
 お二人がこれから生徒たちを教えるうえで,心掛けるところはありますか。

ガチくん選手:
 個人的に分かりやすく教えてもらえると吸収できたという体験があるので,生徒たちにも簡潔に分かりやすく伝えようと思います。回りくどくなってしまうと,結局伝えたいことが伝わらなくなってしまうこともありますので。

ネモ選手:
 生徒たちが今やっているプレイは,見よう見まねで覚えてきたことが多いと思います。ただその一つひとつのプレイには当然意味があって,その意味を理解することで,ゲームの理解度も上がっていきます。

 行動の意味を理解すれば,相手の行動の意味も分かるようになります。生徒たちは,これからもいろいろなプレイヤーと対戦するわけで,今回はそういった考え方の部分を教えたいですね。考え方を理解していれば,たとえ負けてもその理由を自分で考えられますし,勝てる筋道も探せるようになりますので。

4Gamer:
 講師になられるにあたり,準備はされましたか。

ガチくん選手:
 これまでネモさんをはじめとした,いろいろな人に教えてもらってきましたから,その経験を僕なりに落とし込んで,教え方を考えてきました。

 ネモさんがいま言われた読解力的なところも教えたいですね。僕らの世代のプレイヤーってこうした考え方を教えてもらうことがあまりありませんでした。もっと早いうちに知っていれば,もっと大会で活躍できていたかもと思うときもあります。ですので,若い生徒たちに早いうちに理解してもらって,ドンドン成長していってほしいですね。

ネモ選手:
 とくに準備したことはないですね。教えてもらったり教えたりということは普段からやっていることですから。だから,生徒たちも今回学んだことを誰かに教えられるようになればいいですね。

 僕らが話すことのなかには間違っていることもあるでしょうし,ゲームのバージョンアップで変わっていくこともあります。皆が皆に教えていくうちに,いろいろなものがアップデートされていくといいなと思います。

4Gamer:
 技術だけではなく考え方を学ぶことも大事ということですね。最後に決勝大会に向けての意気込みをお願いします。

ネモ選手:
 自分たちが決勝大会に向けてちゃんと攻略や練習をし,その内容を見せられれば,自然と面白い試合,いい勝負になると思います。チームも対戦相手も決まっているので,対策をしっかり準備して本番にぶつけていきたいです。そのうえで,もちろん勝ちにいきます。

ガチくん選手:
 決勝大会では多くのお客さんがいる前で試合をします。生徒たちはこうした経験も初めてで,なかなか普段のパフォーマンスを出せないこともあれば,その逆もあるでしょう。場の雰囲気を肌で感じてほしいですし,まずは大会を楽しんでもらいたいですね。

4Gamer:
 大舞台のプレッシャーに飲み込まれないためにはどうすればいいのでしょう?

ガチくん選手:
 最終的に信じられるのは自分だけなんで,自信を持つしかないですね1か月間練習をしっかりして,その結果を舞台上に持ってくることができれば,プレッシャーのある場所でも自分のプレイが見せられるんじゃないかと思います。

ネモ選手:
 緊張する,しないは人によるところがあり,僕も緊張するほうです。だから生徒たちにはあらかじめ「緊張するものなんだよ」と教えておきたいと思います。頭の中が真っ白になると,本当に何もできなくなりますから。


●チーム3講師:ときど選手,どぐら選手
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4Gamer:
 生徒たちを見ての感想をお願いします。

ときど選手:
 始まったばかりではありますが,みんな「勝ちたい」という意識がすごく高いです。決勝大会までまだ1か月ありますので,長期間での練習法なども伝えていきたいですね。

どぐら選手:
 すごく意欲が高い人たちが集まっています。初顔合わせをするために教室に入ったら,生徒のみんなも「そんなに分かりやすく喜ぶんだ」というくらいにテンションが上がっているんですよ。生徒とはひと回り以上年が離れているんですが,自分が若いころも年上の方からはこんな風にかわいく見えていたのかな,とも思いました。

4Gamer:
 今回生徒に教えるにあたり,準備はされましたか。

ときど選手:
 まったく準備はしていないです。現時点では様子を見つつ,生徒の人となりに合わせていい方法を探っている段階です。大きな舞台の勝負のときは,取り組み方を変えなければいけないところもあり,普段やっていることだけでは大成できないんです。だから,どれだけ意識を変えられるのか,どういった覚悟があるのかといった部分を聞いてみたいですね。

どぐら選手:
 せっかくの機会なので,生徒のみんなが「教えてもらえてよかった」と思えるものにしたいですね。技術的な部分が向上するのはもちろんですが,ゲーム以外の部分でもいい感情を持って帰ってもらえればいいなと。

4Gamer:
 今回生徒に教えるのは技術でしょうか。それとも心構えでしょうか。

ときど選手:
 両者は切り分けて考えられないものなので,両方を教えます。すでに高い技術を持っている生徒に対しては心構えや覚悟を教え,自分を振り返ってみてほしいです。決勝大会までの1か月,普段どおりの練習をしているのではもったいないので,違った取り組みを自分で発見してもらいたいです。チャレンジャーコースの生徒には技術をとおして広くものを見るやり方を教えたいですね。

どぐら選手:
 ときどさんと同様,技術と精神面をバランスよく教えていこうかと。高い技術を持つ人の技術面を補助できれば,それは先生らしい,プロらしい指導成果です。ですから,生徒の様子を見て適切な指導ができればと思います。

4Gamer:
 決勝大会は東京ゲームショウの大舞台ですが,緊張せず普段どおりのパフォーマンスを発揮するための秘訣はありますか。

ときど選手:
 僕の場合,緊張を経験するたびに「次はこうしてみようか」とフィードバックを繰り返しています。これはゲームだけでなく,社会人として生きていくうえでも必要になることなので,生徒たちも決勝大会の経験を生かしてほしいです。

どぐら選手:
 あのウメハラさんでさえ緊張しているのを見ていますから,緊張しないのは難しいですね。そのうえで,準備して臨むのが大事なんじゃないでしょうか。相手がこう来たらこう返す,この状態になったらこんな行動をする……といった目標を設定すると,たとえ緊張しても目標達成のために動けると思います。

4Gamer:
 いずれもプロゲーマーらしい実践的なアドバイスだと思います。では,決勝大会に向けての抱負をお願いします。

ときど選手:
 良い結果を取りにはいくんですが,過程もすごく大事だと思います。決勝大会までの1か月,どれだけのものを捧げることができたか。講師陣も含めて皆の課題にしていきたいです。

どぐら選手:
 大舞台での試合となるので,勝てるのが一番いいとは思います。ただ勝ち負けを問わず楽しんでほしいですね。オンライン予選を越えて「Red Bull 283 Academy」の合宿に来られている時点ですごくがんばった結果ですから。いい結果がついてくると嬉しいよね,という気持ちで決勝大会に臨んでもらいたいです。


●チーム4講師:ふ〜ど選手,板橋ザンギエフ選手
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4Gamer:
 よろしくお願いします。まずは,生徒を見ての感想をお願いします。

ふ〜ど選手:
 この合宿は,我々講師が生徒をチームメンバーとして選ぶところから始まっています。講師たちはみんな歴戦の猛者で,教えることにも慣れているので安心して学んでもらえると思います。だから,自分としてもできることをやるだけですね。

板橋ザンギエフ選手:
 合宿を楽しんでくれているのがうれしいです。楽しむことがいい思い出になるし,上達にもつながっていきますので。1か月という練習期間で大事なのは,長期的な視野を持ちつつ,自分で上達する力を養うことだと考えています。こういった機会はなかなかないので,せっかくなら積極的に勝ちをつかみにいってほしいですね。

ふ〜ど選手:
 期間が長いので,教えていけることもいろいろあるでしょう。まずは特殊なキャラクター対策の理屈を埋めていこうと考えています。細かい部分を対策することで,勝率がかなり変わってきますので。その後は,オーソドックスなキャラクターの対策部分で難しいところ,皆さんが理解できていないところを教えていこうかなと。

4Gamer:
 オーソドックスだからこそ難しい部分もあるんですね。

ふ〜ど選手:
 そうですね。道着と呼ばれるリュウ,ケン,豪鬼はよく見るキャラクターで,共通の対策でよさそうに思えますが,実は対策部分はまったく異なります。例えばリュウに対して安易にキャンセルラッシュを仕掛けると,切り返されたときにリュウ側の固めが強くてバーンアウトしてピンチに陥ってしまうことがあります。だからリュウ戦では安易なキャンセルラッシュは禁物になります。

4Gamer:
 なるほど。実戦的な部分を教えてもらえるのであれば,生徒としても心強いですね。ゲームについて教えたり,教えられたりする中での思い出があれば教えてください。

板橋ザンギエフ選手:
 今回のように教えてもらったことはあまりないですが,皆と話して考え方を聞きつつ自分が上達することは常日頃のことなんです。自分だけでは思いもよらなかったようなことを教えてもらった瞬間が面白いんですよ。だから,生徒たちには,こうした瞬間に触れられる機会をあげたいです。これは先輩としての使命だと思っています。

ふ〜ど選手:
 ひと昔前,ほかのプレイヤーは,ゲームセンターでの対等な対戦相手という関係でした。対戦でお互いを高め合うなかに「教え」が存在していて,講師と生徒といった関係はありませんでした。対戦することが楽しくて,そのなかで自然と上達していった感じです。

 個人的には人と話すことが好きだったので,いろいろと聞いていたことが良かったのかもしれません。疑問に思ったことを人に聞いたり,自分で調べたりといったアクションを起こせる人は伸びていきますね。逆にほかのプレイヤーのアドバイス待ちになってしまうのはよくないですね。

板橋ザンギエフ選手:
 現時点で腕前が高い人が,そこからさらに伸ばすというのはかなり難しくて,今までと同じことをやっているだけでは,目指す高みにたどり着けません。この状態を打破するにはトップ層からアドバイスをもらうことが重要で,今回の生徒たちはまさにこのフェーズにいます。伸び悩んで飽きてしまう人もいますが,ここからさらに上達していくその過程を楽しんでもらいたいです。

ふ〜ど選手:
 センスがあるプレイヤーって,腕前を上げなくても大半の人には勝てるので,ゲームとしては楽しいんですよ。ただ,ある一定のラインを超えてさらに強い人に勝つには努力が必要になります。そこには苦痛も伴いますが,これを面白いと考えられる人はより伸びていきますね。

4Gamer:
 決勝大会の大舞台で緊張しないためのコツなどはありますか。

ふ〜ど選手:
 ゲームプランや状況ごとのアクションを細かく決めておくのが大事です。一例ですが,「開幕は歩いてこの技を打つ」ということを決めておけば,緊張が忍び込んでくるような隙間もなくなります。生徒たちがノープランにならないように教えていきたいです。

板橋ザンギエフ選手:
 事前の準備というか,想定をどれだけできるかだと思いますね。例えば,受験のときにお腹が痛くなったとしましょう。その事態を想定できていれば,腹痛の薬を持ってきているはずです。

 今回ですと,試合当日に戦う会場を初めて見て緊張するということもあると思いますが,それであれば事前に戦う場所を下見したり,イメージしておいたりすることで多少緩和できるかもしれません。自分だけでなく環境を含めて,その場面をどれだけ想定しておけるかが大事になるんです。

4Gamer:
 事前の想定や準備が大切になるということですね。最後に決勝大会に向けての抱負をお願いします。

ふ〜ど選手:
 自分としては,決勝大会の勝ち負けよりも,生徒がどれだけ強くなってくれたかが重要なんです。戦いはこれからも続いていくので,決勝大会が終わったあともモチベーションを保って,取り組んでくれたらいいなと思います。

 今回は決勝大会の順位よりも「プログラムがひととおり終わったあと,生徒たちがどれだけ長くがんばってくれたか」で勝負したいです。自分のチームの生徒たちが,一番長くがんばってくれた生徒になってくれたらうれしいですね。

板橋ザンギエフ選手:
 我々講師も試合をしますが,勝ったほうがモチベーションも上がりますし,生徒たちの機会も広がっていきます。そうした意味も含めてがんばりたいです。

ふ〜ど選手:
 レッドブルさんの取り組みなので,勝てば大きなチャンスがあるかもしれない。だから生徒たちのためにも,なんとか勝ってチャンスをつなげていきたいです。

撮影:Suguru Saito / Red Bull Content Pool
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合宿2日目も,講師と生徒がともに強くなるための取り組みを進めた
撮影:Suguru Saito / Red Bull Content Pool
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撮影:Suguru Saito / Red Bull Content Pool
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「ストリートファイター6」公式サイト

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