
インタビュー
11年の時をかけてリリースにたどり着いた「Lost Soul Aside」。開発者と,それを支えたプロジェクトのトップに聞く[CJ2025]
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「Lost Soul Aside」公式サイト
プロジェクトには紆余曲折があったようだが,それを支えたのは,中国国内のデベロッパを対象としたSIEのゲーム開発振興プログラム「China Hero Project」だった。
11年の時を経てリリースされる本作は,どんなゲームになったのか。そして,その道中には何があったのだろうか。
4Gamerは,ChinaJoy 2025に先駆けて行われた「China Hero Project」試遊会の会場で,「Lost Soul Aside」のプロデューサーである杨 冰(Yang Bing)氏と,「China Hero Project」のディレクターである包 波(Bo Bao)氏にインタビューしたので,その模様をレポートしよう。
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「Lost Soul Aside」の魅力や特徴的なところを改めて教えてください。
杨氏:
システム的にはバトルとアクションが充実しているところです。ストーリー的には,普通の男が,どうやって妹と世界を救うのかを見てほしいです。
4Gamer:
普通の男であるケイサーは,どのようにして世界を救うまでの力を持つようになったのでしょうか。
杨氏:
もともとは貧しい青年でしたが,あるときにドラゴンのアリーナと遭遇し,さらには融合して,そこから超能力的なものが使えるようになります。
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4Gamer:
そういうふうに,超能力や幽霊的なもの,超常現象的なものがある世界なんですね。
杨氏:
もとからの魔法世界ではありませんが,多くの者が能力に目覚めているという設定にはなっています。試遊していただいたデモのボスは雷をコントロールする能力を持っていますし,主人公もさまざまな武器を扱う能力があります。
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4Gamer:
発表から発売まで,約11年という長い年月がかかりましたが,どのような理由があったんでしょうか。
杨氏:
もともと,このプロジェクトは1人で始めたものなんです。ネットにトレイラーをアップしたところ,多くの人に褒めてもらって開発に入ったのですが,やはり1人でできることには限りがあって,スムーズには進められませんでした。
4Gamer:
その期間でまず時間がかかったわけですね。
杨氏:
チームを組むこと自体にも時間がかかりましたし,個人としても,この規模のタイトル開発に参加した経験があまりなかったので,初期は試行錯誤していろいろなものを作っては,いちから作り直しという感じでした。その後,いろいろなサポートを受けたことでスピードアップできて,今の段階までこぎつけました。
4Gamer:
この11年間,やる気を保てましたか。
杨氏:
開発においても,心持ちにしても,ちょっと難しい時期がありました。でも,そういうときに,やっぱり周りの人や,SIEが助けてくれたんです。
4Gamer:
この11年で,まさにこうした3Dアクションジャンルはものすごく進化したと思います。例えばソウルライクはかなりの流行となりましたが,そうしたものを取り入れようとは思いませんでしたか。
杨氏:
「ELDEN RING」はすごく好きで遊びましたが,好きになったゲームに自分のゲームを合わせるため,フレーム全体を変えることはしません。同じ3Dアクションではありますが,細分化すると全然違うゲームです。ですから,自分たちのゲームはやはり,トレイラーで提示した,スピーディーで流れるようなアクション体験を皆さんに提供するものだと考えています。
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4Gamer:
改めての確認になりますが,本作はソウルライクではなく,例えるなら「デビル メイ クライ」や「NINJA GAIDEN」のような方向性なんですね。
杨氏:
似ているとは思いますが,プレイヤーにとって,より簡単な操作で,より派手なアクションができるように作っています。
4Gamer:
発売日が決まってから,ファンからどのような声をかけてもらいましたか。
杨氏:
開発後期に入ってから,SNSをあまり見なくなりましたが,初期にYouTubeへアップしたトレイラーのコメント欄で,ずっとフォローしてくれたプレイヤーのみなさんから,お祝いと励ましの言葉をいただきました。
4Gamer:
バトルについて聞かせてください。今回触らせてもらった感じだと,演出や武器の入れ替え機能などに,「FINAL FANTASY XV」(以下,FF15)のシステムを感じましたが,何かのインスピレーションを得たのでしょうか。
杨氏:
FF15には,まだ「FINAL FANTASY VersusXIII」という名前だった時から思い入れがあるので,その影響があるかもしれません。もちろん,それだけではなく,本作ではアリーナとの融合やドラゴンが武器に変わる効果を見せたいところはありました。
4Gamer:
中国のゲームには美少女が主人公のものが多いと感じているのですが,ケイサーのような,イケメンでモデルのような主人公は,中国でも人気なのでしょうか。
杨氏:
それは本作の特殊なところなのですが,やはりトレイラーから始まったプロジェクトなので,最初の姿で進めています。自分としてはそういうキャラが好きでトレイラーを作りましたし,それを見てフォローしたみなさんの期待もありますから。ただ,個人からチームでの開発に移行したあたりで,「美少女にしたほうがいいのでは」と言われたことはあります。
4Gamer:
使える武器の種類はいくつありますか。
杨氏:
大きく分けて,4種類です。今回のデモでは3種類が使えますが,製品版ではもう1種類増えます。
4Gamer:
ゲームアクションとしては回避とブロックが重要になると思うのですが,個人的にはその判定がやや甘めに感じました。誰にでも比較的簡単にできるような調整にしているのですか。
包氏:
プロデューサーのデザインが「攻撃を楽しんでほしい」なので,ソウルライクのディフェンスとは違うものになっています。みんな,ガンガン攻撃してほしいですね。
4Gamer:
3Dアクションでは,「黒神話:悟空」の大ヒットもありましたし,ChinaJoyには,それこそ数多くの新作がさまざまなアプローチで出展されています。その様子を見ていて,プレッシャーや焦りのようなものを感じることはありますか。
杨氏:
プレッシャーがないわけではありませんが,それより,優秀な作品が世に出て,中国の3Dアクションに対するプレイヤーの期待値がすごく高くなっている,という思いのほうが強いです。ただ,自分のゲームについては,ハイペースの攻撃重視ですので,十分に独特ではあるんじゃないかと思っています。
4Gamer:
包さんにお聞きします。クリエイターを10年間もサポートするにはかなりのコストがかかると思いますが,「絶対にリリースまでサポートし続ける」と決めていたのでしょうか。
包氏:
実際には,いくつかのフェーズに分かれています。初期はSIEのスタッフが声をかけて,資金の援助者をいくつか紹介しました。CHPが本格的に関わるようになったのは,2022年からです。このプロジェクトに対してCHP自身が資金援助をし,ポリッシングもするとなれば,ちゃんとしたクオリティで出さないといけません。
4Gamer:
杨さんは,本格的なサポートが2022年に始まったとき,「やばい。やらないと」みたいな気持ちになりましたか。
杨氏:
出さないといけないプレッシャーというよりは,励ましだと感じました。2022年は,開発が壁に当たって,チーム管理でも挫折をしていた時期だったんです。そこにSIEから大きなサポートをもらえたので,励まされているように感じて,自信が持てる機会になりました。
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4Gamer:
本作の成果などとは関係なくお聞きしますが,今後ゲームを作るとき,個人に戻るか,あるいはチームで続けるか,どちらを選びますか。
杨氏:
次回作については,もう長い間,考えていないんです。今は,このタイトルをどうやって,いかにいい子にして出すかだけに注力しています。
包氏:
8月末の発売予定で,開発は最後のポリッシング段階には入っていますが,今も毎日,チームのメンバーが残業している状態です。SIEの中からも,次回作について話したほうがいいんじゃないかという声が聞こえてきますが,いい作品を皆さんに届けることに最後の段階まで集中して,それが終わってから考えたほうがいいと思っています。
4Gamer:
そろそろ時間のようなので,お2人それぞれに最後の質問です。まず包さんにうかがいますが,CHPとして,このゲームはサポートしてよかったと思える作品に仕上がりそうですか。
包氏:
すごくいい質問だと思いますが,正直に申し上げますと,そこまで考えている余裕はありませんでした。2022年に本格的なサポートを発表をしてから,いかにこのプロジェクトを世に送り出すか,求めるクオリティを実現するには何が必要か,といったことしか考えていなくて。
まずはチームの分析や,必要になるリソースでどういったところを改善するかのディスカッションに数か月をかけました。そして2023年の年末から高速的な開発を始めて,今に至ります。
4Gamer:
では杨さんに。これからブラッシュアップの時間もあるとは思いますが,10年以上かけたゲームが完成して,発売された瞬間,どんな気持ちになりそうですか。
杨氏:
実は,そういうことを考えたことがなくて。
ちょっと想像してみたんですが,発売されても,今とあまり変化はないのかなと思っています。長期間開発を続けたので,もう生活の一部になっているんです。長い間続けてすごいねと言われることもありますけど,自分としては,本作に付き添っている感じがしています。ですから,このタイトルの開発自体はいずれ終わるかもしれませんが,自分の状態はあまり変わらないんじゃないでしょうか。
包氏:
ゲームがリリースされたあとも,プレイヤーとの交流だったり,バグの修正だったりと,仕事が終わるわけではないので,3か月から6か月は仕事の状態が続くんじゃないかと思っています。その後にどういったプロジェクトを考えるか,となるんですけど,2022年に杨さんと初めて会って,ここ数年をずっと見てきましたが,今の状態が1番いいと感じています。
4Gamer:
ということは,次にも期待できそうですね。本日はありがとうございました。
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