
インタビュー
TVアニメ「アークナイツ 【焔燼曙明 / RISE FROM EMBER】」完結迫る。アーミヤ役・黒沢ともよさん,チェン役・石上静香さんがタルラとの決着を語る
TVアニメシリーズ全体としても,まさにクライマックスに向けて怒濤の展開を繰り広げているところだが,アーミヤ役・黒沢ともよさん,チェン役・石上静香さんにお話をうかがう機会を得た。シーズン3のクライマックスを間近に控え,最終局面の見どころや登場キャラクターの印象を聞いてみた。
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「アークナイツ」アニメシリーズ公式サイト
──本日はよろしくお願いします。さっそくですが,TVアニメのシーズン3がいよいよクライマックスを迎えようとしています。最初に台本を読んだときの印象はいかがでしたか。
黒沢ともよさん(以下,黒沢さん):
実を言うと,私はTVアニメシリーズで初めて「アークナイツ」の物語に触れたんです。原作からどう切り取ってこういう展開になったのか,すごく興味深いと感じました。
全部走り切って思うのは,親子のようなもの,遺していくものと受け継いでいくものといった,つなぎ目みたいなものがいろんな形で描かれているということでした。
でも,演じているときにそれを意識していたわけではないんですよね。全話通して観たときに「こんなにも,つないでいく物語だったんだな」と鳥肌が立ちました。なんて伝えるものが多い構成なんだろう,と感動しました。
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石上静香さん(以下,石上さん):
私は原作のゲームをプレイしていたので,どんな展開になるか知っていたうえで台本をいただいています。原作のどこまでがアニメのシーズン3で描かれるか知っていたので,「チェンはおそらく最初と最後くらいしか出番がないだろうな」と思っていたんです。
自分の収録がない部分の台本は持っていないので,「こういうストーリーが進んでいるだろう」と予想しながらオンエアを観ていたんですけれども,ビックリしたのが18話にWがフィーチャーされたサイドストーリーを挟み込んできたことでした。
原作では,本筋が終わったあとのサイドストーリーだったのですが,まさかTVアニメのシーズン3に挟んでくるとは思わなかったので,原作ファンの皆さんもすごいサプライズで喜ばしいことだったのではないでしょうか。
Wのキャラクターの深み,なぜ今までドクターに対して当りが強かったのか,幼いアーミヤやケルシー,そしてドクターがおそらく記憶を失う前のシーンも意味深に描かれています。これを入れたことで,よりTVアニメ「アークナイツ」の深みが出たと捉えています。
黒沢さん:
18話がなかったら,最終回のWの印象が全然違いますよね。
石上さん:
全然違う。
黒沢さん:
それを聞けただけでものすごい満足感です。
石上さん:
テレジアも深みが出ましたよね。急にアーミヤの前にパって出てこられても,「なんだか可愛いお姉さんが出てきた」という印象になりますけど,やっぱり18話で深みが出ましたよね。
黒沢さん:
だから監督も,今回のサイドストーリーはどうしても入れたかったんだ(笑)。18話って会話のテンポがすごく速いんですよ。
石上さん:
でも入れたからこそ,より深みが増した。
あとはシーズン3の主人公の1人,タルラとアリーナちゃんのやり取りも良かったですね。もともと原作の段階でヤバかったんですけど,アニメで声が付いてさらにヤバくなって。
黒沢さん:
たまらなかったですね。
石上さん:
原作ファンの皆さんも,「アリーナってこういう声だったんだ」って。何よりタルラがレユニオンを立ち上げていったシーンがすごく分かりやすく描写されていたので,私としてもすごくありがたかったです。
「素晴らしい映像化をありがとうございます」という感じで,途中までは1人の原作ファンとして観ていました。全体として,すごくいいシーズンになったのではないでしょうか。
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──今回,2人で一緒にアフレコ収録されていたのでしょうか。
石上さん:
同じ画面に映っているときは,ほとんど一緒でした。
黒沢さん:
だから5話分くらいは一緒に収録した感じですね。
──アーミヤとチェンは共に歩むような関係性だと思うのですが,収録を通じてお互いの演技から感じたことや影響を受けたことはありますか。
黒沢さん:
ありますよ。
石上さん:
私もあります。
黒沢さん:
ないでしょ(笑)。
石上さん:
いやいや(笑)。
黒沢さん:
アーミヤの初登場はドクターを起こすシーンなんですけれど,「聞こえてますか? 見えてますか?」って,「今それ聞く?」みたいな感じで。ちゃんと皆の前に立っているけれど抜けてるところも多い,愛され系リーダーの側面が強い描かれ方をしているんです。
でもチェンと出会って,彼女がカッコよく理路整然とリーダーシップを取る姿を見たり,歯切れのいいセリフを浴び続けていたりすると,役者としても黒沢ともよ個人としても「リーダーたるもの,もっとしっかり話さなければいかん!」という気持ちになるんですよね。
演説などの人前でバッと大きな声を出すようなシーンでは,チェンの影響をけっこう受けた仕上がりになっています。
石上さん:
私がともよちゃんに感化されたというか,刺激を受けたのはシーズン1のときでしたね。アーミヤはシーズン3でこそリーダー然としていますが,シーズン1と2では未熟さも描かれていて,成長していく過程で泣くシーンも多いんです。
そこで,ともよちゃんも本当に泣いているんですよ。泣く演技と泣きながらやる演技は,役者から見ても全然違います。
もう1つ,これも役者目線ですけれど,呼吸が本当に生きているみたいなんですよね。ともよちゃんの演技からは,アーミヤが呼吸してしゃべっているのをすごく感じます。その人間味や生っぽい演技はシーズン1からずっとリスペクトしていて,自分ももっと呼吸ができるキャラクターを作ろうと努めています。
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黒沢さん:
恥ずかしいです(笑)。
石上さん:
聞いていて,「アーミヤがちゃんと呼吸してる」って。
黒沢さん:
チェンさんも呼吸してるよ!
石上さん:
嬉しいです。ありがたいです。
──シーズン3では,幼い頃を描くエピソードもありましたよね。シリーズを通して成長してきた中,過去に戻るようなシーンではどんなことを意識したのでしょうか。
黒沢さん:
「絶対可愛くやろう,可愛くやらなきゃ」と思っていました(笑)。ただ「アークナイツ」の世界観の特性上,あまり露骨にはしたくないなと。たとえば幼稚園児って,そんなに可愛い声ではなかったりしますよね。声色はちょっとハスキーで,愛嬌がある感じを意識しました。
TVアニメ制作陣も絶対に可愛い仕草にしてくれるだろうと思って,それをとことん可愛くするためだけに……。
石上さん:
メチャクチャ可愛かった!
黒沢さん:
ありがとうございます! とにかく可愛くしようと頑張りました。
石上さん:
チェンの回想は幼少期と学生時代,そして今という感じだったので,私はどちらかと言うと「チェンがどうして,こんな性格になったのか」を逆算しました。
チェンは龍門近衛局に入ったことで,今のようなカッコいいお姉さんになってしまったけれども,幼少期では「お姉ちゃん大好き」みたいにタルラに甘えているじゃないですか。「本当は可愛い子だった」ということを表現するために,私も可愛くやろうと思いましたね。
黒沢さん:
一緒だ。
石上さん:
現在のチェンがカッコいいお姉さんですから,どこまで可愛くしていいのかは監督の判断に任せていたんですが,意外とメッチャ可愛くやってもOKが出たので……。
黒沢さん:
過去のチェンが可愛かったことで,刺さるものがすごく大きくなって,かなりグッと来ました。
石上さん:
徐々に荒んでいくと言うと言いすぎかもしれませんが,そんな過程を数カットのシーンで表現して「本当はチェンって,こういう性格なんだよ」ということが伝わればいいなと思いながら演じました。
黒沢さん:
チェンさんって,「イライラする」というキーワードがあるじゃないですか。
石上さん:
そうそう,常に「何かムカつく」みたいなね。
黒沢さん:
それって,おそらく自分の本質の軸となるところと少し違う方向の振る舞いをしているから,ありのままで生きている他人を見るとイライラするんですよね。過去と現在のギャップからそういうことが伝わってきて,「それはもう,役者の領域の解釈だよ!」と感動しました。
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──とくに最初の頃のチェンには,理想を追いかけるアーミヤに対して「そのままではリーダーとしてダメだろう」というところがありましたよね。
石上さん:
それは,チェンがアーミヤを自分に重ねているシーンでもあるんですよね。アーミヤとは違う道を進んだ結果,スラムもそうですけれども,自分の思いどおりに龍門を守ることができなかった,理想の龍門にできなかったという彼女なりの悔しさや絶望があるんです。
「だったらアーミヤのように,理想に向かって突き進んでいたほうが正解だったのではないか」という葛藤も,彼女の中にあると思うんですよね。
黒沢さん:
あれは父親が悪い。親子関係が……。
石上さん:
ちょっと会話が足りなかったかな,とは思いますよね(笑)
黒沢さん:
シーズン3のポイントは,そういうことがたくさん詰まってるところかな。
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──先ほども話題に上がりましたが,シーズン3ではアーミヤがリーダーとして決意を固め,前に進んでいくシーンがありました。とくに印象に残っているセリフや演技などを教えてください。
黒沢さん:
20話のAパート,パトリオットにアーツを投げるシーンがすごく印象的でしたね,
石上さん:
私はたくさんあるんですけれど,とくにアーミヤの「私達は武器じゃない」という言葉は現実にもリンクするなと。言葉は人を傷つける武器にもなりますし,何かをすることで人を幸福にするのも,攻撃するのも自分自身。だから「自分も武器になり得る」とすごく印象に残りました。
チェンで言えば,17話でホシグマから「龍門にはお前が必要なんだ」と言われるシーンですね。
チェンの一番近くにいたホシグマの「龍門を一番愛しているのはお前だろう」という言葉がチェンの耳に届いていない,仮に届いていたとしても彼女はおそらく止まることがない。そのシーンは,すごく印象に残っています。
──怒濤の展開を見せているシーズン3ですが,ご自身が担当した以外の印象に残っているキャラクターを教えてもらえますか。
黒沢さん:
ロスモンティスかな。
石上さん:
私はアリーナちゃんですかね。
黒沢さん:
共感しかないです!
あとは細谷佳正さんの演じたヘドリー,恒松あゆみさんの演じたイネス。お芝居と相まったときの破壊力が半端なくて好きですね。
石上さん:
私はアリーナとタルラの掛け合いが好きなんですよね。タルラがコシチェイに何かされないようにアリーナが見守るシーンで,アリーナが亡くなったあともまだタルラは自分の軸を守っていたんですけれども,村に行って心を砕かれてしまうんです。
もしアリーナが生きていたら,また違う道筋のタルラが見られたんだろうなって。アリーナはシーズン3のキーキャラクターですし,非戦闘員としてもすごくいいお姉さんとして描かれていたので,象徴的なキャラクターの1人だと捉えています。
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──黒沢さんはロスモンティスのどこが印象に残っていますか。
黒沢さん:
幼いという免罪符があるので,思ったことを全部口に出すところですね。アーミヤはシーズン1と2を経て,一旦全部飲み込んで,かつての思いに蓋をして見えないようにしている。「リーダーやるぞ」と決意するわけです。
そこにロスモンティスは,かつてアーミヤが抱いていた思いを全部言葉にしてぶつけてくるんですよね。それでも,アーミヤは自分を前に進めていく。そんなアーミヤの確固たる成長を描き出したシーンが印象的でした。
また,3シーズンを通して監督は「死者に対する思い」を大事にしているのですが,ロスモンティスは「1人の人間として尊重しなければならない」という確固たる意思を象徴しているキャラクターでもあると感じます。
──シーズン3のクライマックスでは,タルラとの決着が待っています。ファンにはどんな気持ちで見届けてほしいですか。
黒沢さん:
逆に「どんな気持ちになりましたか」と聞きたいです。それくらい歴史を作ってきた自覚があります。
石上さん:
今までどこを主軸として観ていたかによって,それぞれ受け取り方が違うと思うんですよ。主軸がアーミヤなのか,チェンなのか,あるいはタルラなのかによって最終話の感想が大きく変わるでしょうね。
黒沢さん:
物語自体はシーズン3のあともまだまだ続きますから,彼女達の戦いは全然終わっていないんですよね。それを踏まえて,タルラ編の一段落で感じてほしいのは「チェンとタルラの姉妹をどう思うか」ということです。
実はずっと家族の話なんですよね。そこに気付かされたときに,皆さんがどんな明日を思い描くのかを聞いてみたいです。
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──最後に,ファンに向けてメッセージをお願いします。
黒沢さん:
アニメシリーズは足かけ4年になりますが,濃密でしたね。まだ4年しか経ってないのかと感じるくらい,いろんなことを教えてもらいました。普通に生活していたら,ただモヤモヤして終わっていたようなことをアーミヤが口に出してくれて,監督が物語を切り取ることで示してくれました。
「アークナイツ」に出会わなかった人生は,きっと違ったものになっていただろうとも感じています。皆さんにとってもそうだといいなと思いますし,少なくとも私はそうだったので,まだ観たことがない人もこの機会にぜひ観て,いろいろ考えてみてほしいです。
石上さん:
原作の「アークナイツ」には5〜6年関わっているのですが,こんなに丁寧にアニメ化されて,それに声をあてることができるとは思ってもみませんでした。
これも一重に「アークナイツ」を応援してくださっている皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。
きっと皆さんも,タルラと対峙するところでアニメが一段落するだろうと予想していたのではないでしょうか。おそらくシーズン3の最後のシーンが観たくて,これまでアニメを追いかけてくださったと思いますので,Yostar Picturesと共に走り続けた4年の集大成をいろんな気持ちを抱きつつ,見届けていただきたいです。
原作のゲームも続いておりますので,引き続き応援のほどよろしくお願いします。
──ありがとうございました。
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- ライター:早川清一朗
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