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【ミートたけし】セルフコントロールの極意とは
ミートたけし / 川村 竜 / ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー
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ミートたけしの「世界の平和が俺を守る!」ミートたけしYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@meatalk |
第22回:セルフコントロールの極意とは
暑い。あまりにも暑い。
このコラムが掲載される数日前,都内の気温は今年最高を記録し,まだまだ猛暑日は続く。
そしてそんな猛暑をさらに熱くするかのように,「ストリートファイター6」(PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch 2 / PlayStation 4。以下,スト6)の一大イベント,「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025」(以下,SFL)がスタートした。
スト6自体はプレイできていないものの,友人のプロ格ゲーマー達も多く出場しているので,微力ながら応援,観戦をしている。
今まで観てきたSFLでも,初戦で喫した敗北を引きずり,後半までなかなか持ち直せなかった選手達が見受けられた。やはりこの辺のメンタルの調整,つまりセルフコントロールに関しては,どの業界においても必須だなと,あらためて認識できた次第だ。
「お前に格ゲーの何が分かるんじゃ!」なんていう声も聞こえてきそうだが,あくまでも音楽家目線で,音楽に置き換えたうえでの話を,このまま偉そうに語る!
コンサートの長さといえば,2時間前後くらいが定番だ。私自身も現場において先述のように,一度のミスで後半までガタガタの演奏になる演奏家達を幾度となく目の当たりにしてきた。
面白いもので,いわゆる「大御所」と呼ばれる演奏家でも,このような状況に陥ることは何度もあった。演奏キャリアや経験値に関わらないのだ。
初戦が大事だからこそ気負ってしまうのだろう。
1曲目が大事だからこそ気負ってしまうのだろう。
だが,初戦が大事だからこそ,1曲目が大事だからこそ,肩の力を抜かなければならない。
孫悟空から学ぶマインドセットアップ
では,いかにして肩の力を抜き,いかにしてマインドセットアップをするのか?
それを教えてくれたのは,両親でも兄でも師匠でもなく,そう,悟空だった。「ドラゴンボール」の孫悟空だ。「人造人間編」(コミックス33巻)にて,セルゲームまであと9日という場面で悟空さはこう言った。
「3日休んで,3日特訓,そんでもってまた3日休む」
「これ以上修行したって意味ねぇ,限界までやったんだ」
これは本当にマジでコレ。マジマジ。冗談抜きだ。もちろん「限界までやった」というのもミソなわけだが,私自身,本番前ギリギリまで練習,復習という類のものは,生きてきて一度たりともやっていない。
これが正解かというと人それぞれなのかもしれない。ただ,先ほどの「限界までやった」にも通ずる部分かもしれないと思うのは,本番前まで練習しなければ成功しないようなものは,恐らく高確率で本番においても失敗するだろう,ということ。
「練習で120%できて,やっと本番で70%くらいの成功率だ」なんて言っていた人もいたような気がする。
また,別の角度から考えてみると,ギリギリまで練習して良いイメージのまま本番に臨めるならまだいいが,例えばその練習でミスをしようものならば,悪いイメージを抱えたままステージに立つことになる。
本来,「やれることはやった」のであれば,あとは何も考えずにステージに臨めばいいのだ。
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これが先ほどのプロゲーマーと音楽家に共通する,理想のマインドセットアップなのだ。初戦が大事だからこそ肩の力を抜く。1曲目が大事だからこそ肩の力を抜く。しかしながらこれはあくまでも「本番前」「試合前」のセットアップに限る。
では実際に初戦を落としたら,1曲目でミスをしたら。いかに「リカバー」するか,という話も大事になる。もちろん初戦を白星で飾ることが大事だし,1曲目で一度もミスをしないことも大事だ。
だがやはり人生,そううまくいくことばかりではないだろう。ではどのように黒星を,ミスを受け入れればいいのだろうか?
それはズバリ「大したことじゃない」という開き直りに尽きる。1度の黒星で,1度のミスで,優勝できないこともなければお客さんが帰ってしまうわけでもない。
むしろ音楽の話で言えば,ちょっとミスした程度ではお客さんはおろか,共演者達すらも気付いていないときすらある。つまり,自分が気にしているほど周りはなんとも思っていないのだ。
こんなものはゲームでも演奏でも,スーパープレイ一発で記憶の彼方へと吹き飛ばされてしまうような些細なものだ。
少し話が逸れるかもしれないが,格ゲー勢達の応援で僕が好きな言葉は「今のはどうでもいい」と「安い安い! 死ななきゃ安い!」だ。この声援にすべての答えが詰まっているように思う。
ちなみに,若手ミュージシャンが失敗したときに上記の励ましの意味で「どうでもいいどうでもいい! 安い安い!」と肩を叩いたら,ガン泣きされて落ち込まれたことがある。格ゲーシーン以外では使う言葉,使いどきに気をつけたほうが良さそうだ。
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真逆の立場!? 審査員のお仕事
そんな数々のステージやコンテストを乗り越えてきた私だが,この度なんと審査員のお仕事をいただいてしまった。しかも音楽の審査員ではない。コーヒーの大会の審査員だ……。
「1st CRACK COFFEE CHALLENGE」(以下,1CCC)という,コーヒーの焙煎の大会が9月13日に開催される。コーヒー豆の焙煎,抽出,そしてプレゼンテーションを競い合うこの大会は,コーヒー業界の総合格闘技と呼ばれている。
冒頭から書いてきたことは,要するにいかにして「緊張」と向き合うか,とも言い換えられるわけだが,ついに「緊張」を与える側になってしまった。
しかしながら,これはこれでやはり緊張するもので,最初にオファーをいただいたときも,コーヒーの「味」を評価することになるなら受けかねる,という話をさせてもらった。
自分自身「批評家」と呼ばれる人達に,自分の音楽を「批評」されることなんて鼻持ちならないし,皆さんが切磋琢磨して作り上げたコーヒーの味を評価するなんてことは,自分のポリシーに反する行為だからだ。
だが,主催のギーセンジャパンの担当の方が仰ってくれたのは,「1CCCは味の良さ,焙煎の良さだけ甘えず,それをいかに人々に広めていくか,という視点でプレゼンテーションに重きを置いている。是非,そのあたりをジャッジしてほしい」とのことだった。
普段から私がコラムやYouTubeで皆さんにお伝えしていることとマッチしていると感じ,それならばとオファーを受けることにした。
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いい音楽,いいコーヒーを作るのは当たり前。
いい物を作っていればいつか誰かが見つけてくれるなんていうのは,夢物語でしかない。
いやむしろ慢心と言えよう。
今回,頭から書いてきたことと共通するのは,やはり「やれることはやった」という状態まで,まずは持っていくことが大事だということだ。話はそれからなのだ。
「やることはやった」。だから本番まではもう慌てない。
「やることはやった」。だからあとはプレゼンに集中する。
後半の行動自体は前者も後者も真逆に思えるかもしれないが,精神状態,つまりマインドセットアップという視点で見ると,どちらも同じ状態なのだということをご理解いただきたい。
共通項が生み出す説得力
ここまで音楽,格ゲー,コーヒーと,それぞれ異なる業界,生き方においてのマインドセットアップ,セルフコントロールの重要性を書き上げてきたわけだが,3つもの業界の共通項として,今回のお話をお伝えできることを,非常にうれしく感じている。
自分自身,さまざまな立ち位置,視点で物事に接しているときに,やはり間違っていなかったんだ! と思えることは,ダイヤモンドや金銀財宝よりも尊く美しい物だ。
そして自らのエリを正す意味でも,このコラムを通じて,いつだって「やれることはやった」と胸を張って言える自分でありたいと思う。
SFLでこれから激戦を繰り広げる格ゲーマーの皆さんにも,1CCCでこれから激戦を繰り広げる焙煎士の皆さんにも,どうか「やり残したこと」に全力を尽くして当日を迎えてほしい。
音楽してたって,ゲームしてたって,コーヒー飲んでたって,いつだってどこだってこうして自分を高めてくれるチャンスが,あちらこちらに散らばっている。
やはりそう。
地球の平和が私を守っていると言っても過言ではないのだ。日々,守られていることへの感謝を忘れずに生きていこうと思う。
今月も最後までご拝読ありがとうございました!
次回は恐らく東京ゲームショウのお話になるかな?
それまで皆さん,どうぞ熱中症などにはお気をつけて!
■■ミートたけし / 川村 竜(ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー)■■ ベーシストとして国内外各所でライブやコンサートで演奏活動をしつつ,配信活動も活発に行っているミートたけしこと川村 竜さん。現在は主にYouTubeチャンネル「ミートたけし-MEAT TAKESHI-」とTwitchチャンネル「ミートたけしの『太くてニューゲーム』」で,雑談配信をしたりゲーム配信をしたりと大忙しの様子です。 |
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